エブロ製1/43やアリイ(旧エルエス)の1/32キットとして販売されている「クラウンRSパトロールカー」が本当は実在せず、実はトラックやランドクルーザー用のエンジンを載せた別のクルマである、ということを書いたのはもうずいぶん以前のことになります。
その後、単にエンジンが違うだけでなく、
◆前・後ともリーフ・サスペンションのH型シャシ(クラウンは前ダブル・ウィッシュボーン/
後リーフリジッド)
◆エンジンルームは延長
◆エンジンルーム側面のルーバーは2個のものと3個のものあり
◆フロントウインドウ直前に方向指示器を別付け
◆B型エンジン(直6・OHV・3386CC・85HP)のBH26に対して、大型トラック用F型エンジン
(直6・OHV・3878CC・110PS)搭載のFH26は1956年11月以降生産
◆BH26・FH26とも構造的にはBHR型パトロールカーと大差なく、変速機はランドクルーザーと 同一、ファイナルギア比4.11、FHはタイヤ6.00-16、車重1,715kg といったことがわかって 来ました。
「ランドクルーザー」とは言っても、それは当初は「トヨタBJ型ジープ」と言っていたもので、初期BJはウイリスのMBよりもエンジンルームの高い、バンタムBRC40のような印象のスパルタンな車両です。1951年に警察予備隊からの大量発注を目的に開発スタートしたものの、入札前の試験で三菱ジープに敗れ、1953年にようやく警察からの発注を受けてBJ20型として生産開始されたものです。
型式記号「BJ」の頭の「B」は「B型エンジン搭載車」ということですから、トヨタパトロールBH26と兄弟であることがわかります。
「ランドクルーザー」を名乗るようになったのが、「ジープ・Jeep」がウイリス/三菱の専使用商標となって、トヨタでは使えなくなったためです。「ランドクルーザー」の名は意外に古く、1954年6月からです。
B型エンジンのスペックは、「1955年式トヨタBJ型ジープ」のものとして発見することができたので、以下に載せます。(GAZOO名車館・「名車列伝」より引用)
http://gazoo.com/meishakan/meisha/shousai.asp?R_ID=8160
種 類:ガソリン 4サイクル
冷却方式:水冷
シリンダー配置:直列
気筒数:6
バルブ形式:OHV
排気量(cc):3386
最高出力(PS/rpm):85/3200
最大トルク(kgm/rpm):27.0/2000
燃料供給装置:キャブレター
キャブレター数:1
過給装置:─
BH型パトロールとBJ型ジープではシャシは異なりますが、前期のように変速機(4速MT・フロア)と6.00-16のタイヤは一致しているようです。
つまるところ、当時のパトカーは、「乗用車」よりも「軍用車両」に近かった、ということが言えるのかもしれません。
私もそうでしたが、BH26/FH26はエンジンは違うものの、シャシとボディはクラウンだと思っている方は多いと思うので、シャシも違うというのは大きなポイントかと思います。
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