ヨーロッパの3インチモデル──(2)マジョレット

HO to 3-inch toy cars from Europe──(2)Majorette






「ヨーロッパの3インチモデル」の掲載台数が増えて来たことにともない、「ノレブほか」と「マジョレット」の2ページに分割することにしました。

このページは、マジョレットが「ズィンバ・ディッキー」グループの傘下になって以降の、各国向け緊急車シリーズなどを中心とした内容になります。項目を、ブログ方式で更新順に手前(ページ前段)に追加しているため、解説の内容が前後している部分がありますが、とりあえずご容赦いただければと思います。 (2013/1/14)






 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──オーストリア向け新セット


マジョレットの前回更新(2015年12月)で、オーストリア向けセットをご紹介したのですが、また新しいセットがオーストリアから送られて来ました。
前回セットは、オーストリア向けオリジナルはポルシェのポリスのみ、BMWのドクターカーとVWアマロークの消防は(同じドイツ語圏ということで)ドイツ市場向けと同一のモデルだったのですが、今回は大きな変化がありました。

ひとつは、これまでは「緊急車セット」(S.O.S.CARS)と言いつつ、アンビュランスを乗用車型のドクターカー(BMW)で、消防を乗用車やピックアップで代用していたのに対して、今回はアンビュランスをルノー・マスターの患者搬送車に、消防をMAN TGSのバスケット付梯子車に置き換えて来たことです。これには少々驚きました。

ふたつは、オーストリア向けセットについて、救急車のコールナンバーを「144」、消防を「122」、ポリスを「133」というように、きちんとオーストリア国内の電話番号にローカライズしていています。

みっつには、パッケージがまた新しいものになり、モダンで、クォリティ感がさらに高いものになりました。





最近、Sikuの緊急車モデルの新製品が少ないのは、ドイツ・オーストリアをはじめとする欧州市場で、マジョレットに圧迫されているからではないか、という憶測を持っているのですが、3台セットの箱には、「8.99ユーロ」の値札が貼られたままになっているので、「価格競争力」について少し検証してみましょう。


マジョレット・3台セットの8.99ユーロは、1ユーロ=123円ぐらいで換算して、1,100円、というところです。1台3.00ユーロ=366円相当で、日本国内の家電量販店などでのトミカの税込価格とそう変わらない印象です。必ずしも「チープ」な商品ではないことがわかります。

Sikuが品番6000番台で、5台セットを出しています。明らかにマッチボックスやホットホィールの「ファイブ・パック」に触発された商品と思えますが、ドイツのサイトで、このSikuのセットの価格を見てみると、9.99〜16.00ユーロぐらいでした。9.99ユーロだと、1台あたり2.00ユーロ(245円)、16.00ユーロだと1台3.2ユーロ(392円)になります。いずれも即決価格です。

単品ブリスターでは、マッチボックスのルノー・マスター救急車が2.99ユーロ(367円)、マジョレットのルノー・マスター(インターナショナル版消防)で3.99ユーロ(489円)、SikuのVW・マルチバンのポリスが4.30(527円)ユーロぐらいから出ていました。

買う店を選べば、マジョレット/Siku/マッチボックスともに、そう大きく変わらず、1台360円ぐらいの感覚で入手できそうです。マジョレットが顕著に「安い」ということはなく、ネットオークションでは他国のプリントをしたものにプレミアムがつきはじめます。というより、自国言語のブリントのものを、1台1,000円〜1,500円換算ぐらいで出品しているのです。
Sikuは、単品ブリスターとしてはやはり少し高めに感じられ、5台セットを比較的安く出している店は、競争も意識して価格を下げて来ているように思います。やはりSikuの苦戦感は偲ばれるような気がします。

本来競争があることは、消費者やコレクターにとってはむしろ良いことのはずで、「より良質なものを、より低価格で」供給されることを期待しましょう。実際、マジョレットのシリーズのクォリティはかなり上がって来ていると思います。 (2016/5/4)


※最近撮った画像は、かなり明るくなっています。
 古いデジカメを使うのをやめて、iPhoneで撮るようにしたからです。カメラの方がいいのかと思って敢えてそうして
 いたのですが、余分な手間でした。
 逆に少し明るくなりすぎているようで、撮影の時に使っている背景の色を少し考えないといけません。


#299F MAN TGS 梯子消防車 (オーストリア消防)

トミカの消防車に比べると、かなり大柄で、Sikuのスーパーシリーズ(単品ブリスター)の消防車のボリューム感に似ています。。
後輪2軸の梯子車ですが、全長を圧縮したデフォルメがされているでしょう。
キャブ全面のプリントは悪くない感じ。梯子は2段、先端のバスケットも可動、梯子横の「FEUERWEHR」のプリントにも、1工程かけた誠意が感じらます。スケール「1/87」を裏板に書いています。

キャブに加えて黒のフェンダー部分にもダイキャストを使っているため、重厚感もあり、HOスケールのプラ製消防車モデルとは違った「がっしり」感を出しています。ホイルのスタンプ部分をグレーにしているのも感心します。

オーストリア向けなので、コールナンバー「122」を表示していることも高評価。
裏板の生産年次ラベルは「BK220615」、2015年6月22日でしょうか。タイ製。



#209D ポルシェ911GTS ハイウェイ・ポリス (オーストリア警察)

オーストリア・カラーに身を包んだポルシェ。
前作の3台セットに入っていたものと同じ、と思いきや、以前のセットのものはこの緊急車シリーズのスタート以来の定番になっていたポルシェ996、今回のものは911GTSに置き換えられています。リアにスタビライザーがあるので、簡単に識別できます。

ホイルはダブルのファイブ・スポークです。
裏板の生産年次ラベルは「BK220615」で梯子車と同じ。スケール1/59の表記。タイ製。

裏板の1/59スケールの表示が「ECH:」(echelle/エッシェル/頭のeはアクサンテギュ)のフランス語になっていて、フランス製マジョレットの面影を今に残しています。



#239C ルノー・マスター救急車 (オーストリア消防)

ルノー・マスターのバン型ボディの救急車。マジョレットは、もともとバン車型の金型を持っているわけですから、どうしていままでBMWの「ドクターカー」で誤魔化していたのかが不思議です。
ルノーマスターは、プリントのない民間仕様のもの、建設車シリーズのものなどがあり、救急車専用の金型というわけではありません。

マッチボックスも最近ルノーマスターの救急車を作っているので比べてみると、マッチボックスはハイルーフで側面・後面に窓のあるタイプで、インテリアにはストレッチャーや器具棚などのモールドがあり、裏板表示も「Renault Master Ambulance」になっていて、救急車専用金型であることが知れます。

マジョレットはボディ=ダイキャスト、裏板=プラの通常のツクリですが、マッチボックスはボディ=プラ、裏板=ダイスキャストという、最近のマッチボックスに特徴的なツクリになっています。

オーストリア版は真っ白でなく、私の大好きなアイボリー色ですが、残念ながら赤十字車ではなく、アメリカの消防エンブレムのようなマークを付けています。マークの中はスター・オブ・ライフ・シンボルにアスクレピオスの杖、文字は「AMBULANCE」と書いてあるようです。

コールナンバーの「144」は、オーストリアでは正解、「RETTUNGSWAGEN」(救助車)も正確ですが、オーストリア〜ドイツでは、こういうアメリカふうのエンブレムが使われることは、まずありません。
たぶんーストリア赤十字の許諾を取るのが面倒だったんでしょう。

ホイルは10本スポークのもの。
裏板の生産年次ラベルは「BK290615」。3台とも、2015年6月生産で一致していることになります。タイ製。





 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ドイツ向け新セット

続いてこちらは、ドイツ向けセット。車種構成は、梯子車と救急車はオーストリア向けと同じですが、ポルシェが「パナメーラ」に置き換えられています。

オーストリアも同じドイツ語圏ですが、オーストリアと同じモデルが入っている、ということはなく、塗装やプリントをきちんと変えて来ています。




#299F MAN TGS 梯子消防車 (ドイツ消防)

オーストリア版との違いは、キャブ側面に白の「楔」型のデザインが入ることと、コールナンバーが「122」ではなく「112」になっていること。
つまりドイツ語表記ということで同じものにせず、良心的な「違い」を作っているわけです。

裏板の生産年次ラベルは「BK300315」で、2015年3月30日でしょうか。タイ製。

今回ご紹介している、ドイツ向け、オーストリア向け3点セットに入っているのはMAN TGSの梯子車ですが、ブルガリア、ハンガリー向け、また「Fire Brigade」プリントのインターナショナル仕様では、メルセデス・ベンツ・ツェトロース(Mercedes Benz Zetros)の6輪の消防車が作られています。



#209B ポルシェ・パナメーラ ハイウェイ・ポリス (ドイツ警察)

ポルシェなので、箱に入っていると同じように見えますが、「996」でも「911GTS」でもなく、「パナメーラ」を使っています。

スケールは1/64の表示。ホイルは10本スポーク、タイ製。
裏板の生産年次ラベルは「BK230315」、2015年3月23日でしょうか。タイ製。

「パナメーラ」になってから、ブルガリア、ハンガリー、イタリア、ベルギー、フランス仕様の単品ブリスターを確認しています。ルース品でしたが、チェコ版もみかけました。



#239C ルノー・マスター救急車 (ドイツ)

ルノー・マスターの救急車。

オーストリア版と違ってボディ色は白になり、濃紺の「スター・オブ・ライフ」シンボルが付きます。
コールナンバーは「112」です。
ドイツ赤十字(DRK)や、マルテザーなどの各救助団の許諾を必要としないマーキングとしたのでしょうが、あまりドイツっぽくないマーキングで、ドイツ国内向けというより「ドイツ語プリントをした海外向け」という印象です。ルノー・マスター自体は、DRKなどでも使用しています。

海外サイトには、フィンランド、ノルウェー、ハンガリー、ブルガリアのプリントのものが出ていました。こうやって、車種が変わり、ホイルが変わり、というものを全部追っていくのか?? と考えると、急速に情熱を失っているところです。Sikuやマッチボックスのフリートで充実している、ポルシェのポリスは続けてみようかと思っていますが…。

特にこのルノーマスターの救急車は、それぞれの国の事情を反映したマーキングになっているとは言い難く、似たような白いボディに各国語をプリントしただけのような印象のものになっています。

裏板の生産年次ラベルは「BK020315」、2015年3月2日でしょうか。タイ製。



「ポルシェ・ハイウェイ・ポリス」の違い

左から、これまでの「S.O.S.3台セット」の定番だった「996」、中央が今回のオーストリア・セットに入っている「911GTS」、右が今回のドイツ・セットに入っている「パナメーラ」です。
「911GTS」は少数というかイレギュラーのようで、新しい生産分は各国仕様とも「パナメーラ」にシフトしているようです。

下の画像では、「996」は断面が楕円形の屋根上灯を着けていますが、「911GTS」と「パナメーラ」では、断面が六角形のものを付けています。国によっては、「996」で六角形断面のものが存在する可能性があり、さらにホイル違いがあり得ます。まぁ、そんなものを全部集めるという方もいらっしゃらないでしょうが…。




オーストリア向けポルシェ911GTS・単品窓アキ箱

3台セットに入っていたのと同じ911GTSですが、単品で、それもブリスターではなく窓アキ箱に入ったものがありました。
モデル自体は、六角形断面の新屋根上灯にダブルスポークで、セットのものと同一のようです。
裏板に「BK220615」の生産年次シールがありますが、箱の側面にも別のシールが貼られており、それは「BK290615」になっています。ということは、組立(6月22日)から、パッケージング(6月29日)まで、8日間の期間がある、ということになるのでしょうか。
マジョレット・タイ工場は不思議なところです。











 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──オーストリア向けセット


回は、まず「S.O.S.Cars」3点の、オーストリア向けセットです。

オーストリアのコレクターと長年交換をして来ているわけですが、マジョレットの緊急車シリーズに関しては、「オーストリア向け」も「日本向け」も目にすることなく、お互いに交換することのできない状況が長らく続いていました。

ところがある日オーストリアから、「オーストリア向けのセットが出た!」と言って来たのですね。
しかし3点セットの中で「オーストリア・オリジナル」なのはポルシェのポリツァイのみで、BMWドクターカーと、トヨタ・ハイラックス消防は、ドイツ仕様と全く変わらないとのことです。
ポルシェのみ必要か、3台のコンプリート・セットが必要か、と聞くので、その時は「ポルシェだけで十分」と答えたのです。いくら同じドイツ語圏とはいえ、別の国ですから、特にドイツに本拠を置くズィンバ・ディッキーとしては、ずいぶん無精なことをするな、と思ったものです。

ところがほどなくまたメールが来て、「別のセットを見つけた。その中では、ハイラックス消防が、VWアマロークに置き換えられている!」というのです。それで、ポルシェ単品でなく、3台セットを送ってもらったというわけです。

この「VWアマローク消防」は、ホイルも含めてドイツ国内向けと同じもののはずですが、ドイツ向け単品をまだ入手していないため、初めての登場となります。
こちらからは交換で、マジョレット日本向けポリス仕様5点を送りました。


ドイツからは、ベルギー向けの新しい3台セットが2種、同じくベルギー向けのボート積載トレーラーやヘリの入った大きなセット、チェコとポーランド向けのアマロークが入手できるので発注するか、と言って来ました。ところが欧州域内送料と日本への送料を入れて、全部で80ユーロだと言うのですね。現在のレートでは1万円を越えます。

当初はボート/ヘリ同梱の大きなセット以外を頼みかけたのですが、はたと考え直しました。もともとマジョレットは、日本でのガム付き商品がそうであるように、そんなに高い価格帯のものではないのです。それが各国向けプリントが作られ、当該地域以外のコレクターには入手しづらいことから、こういったプレミアムがつくようになっているわけです。マジョレット側のバリエーションづくりもエスカレートして来ているように思い、どうも不健全な方向に向かっている匂いがします。そもそも全バリエーションを入手できるとも、したいとも思っていませんから、お断りをすることにしました。同じ1万円でも、探していたモデルを手に出来た時の嬉しさはひとしおですが、何だか無理やり買わされているような出費はしたくないからです。  (2015/12/5)





#257-C BMW M3  ドクター・カー (オーストリア/ドイツ)

結局BMWドクター・カーだけは、ドイツ向け仕様のモデルを流用していて、オーストリア向けセットに入るにあたっての変更は何もありません。

オーストリア赤十字仕様にするとか、工夫の余地はいくらでもあるはずですが、許諾を取るなどの労力を惜しんだものと思われます。

オーストリアでは緊急時電話番号としてEU共通の「112」に加えて、警察「133」、救急「144」、消防「122」を使っていて、ドイツとは違う点なので、せめて「144」だけでも書いておいて欲しかったところです。
(ポルシェは「133」をプリントしています。)

裏板の生産年次シールは「BK280714」。「2014年7月28日」でしょうか。
 


#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (オーストリア)

シルバーにブルーと赤の帯をひいた、オーストリア警察仕様。
よもやこの姿が、マジョレットから発売されるとは思っていませんでした。

オーストリアも、実際にポルシェのポリスカーを運用しています。
裏板の生産年次シールは「BK210414」。「2014年4月21日」でしょうか。



VW・アマローク(Amarok) (オーストリア/ドイツ消防)

ドイツ国内での単品での流通は確認していませんが、これもドイツ国内向けと同じものと考えられます。

「アマローク」の実車は、アルゼンチンで生産されていて、2010年から南米、オーストラリア、欧州などで販売されています。ピックアップ型式のプロポーションは、3インチ・サイズではトヨタ・ハイラックスと非常に良く似ており、店頭で3台入りパッケージに入った状態で、ハイラックスからの置き換えを見破った、オーストリアのベルントは流石。
今後生産される他国向けのセットでも、ハイラックスがアマロークに置き換えられていくものと思います。

裏板の生産年次シールは「BK040814」。「2014年8月4日」でしょうか。3点の中ではこれが一番新しいです。




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──インターナショナル

VW アマローク 消防 (インターナショナル)

同じくVWのアマロークで、英語でプリントされたインターナショナル向けのもの。

ところが屋根上のプリントが「FIRE BRIGADE」(消防隊)とするべきところが、「FIRE BRIDGE」というミススペルになっているエラー品です。

これはドイツの交換相手が見つけて送ってくれたものです。彼はマジョレットの日本向けポリス5点の情報を、私が知らない、まだ日本で流通していない時点で入手して、「手に入るか?」と言って来た人物です。日本ではポリス5点はセットで売られたわけではないので、何セットかをかき集めるのにそこそこの苦労をしました。

トヨタ・ハイラックスで作られたインターナショナル版は、ちゃんと「FIRE BRIGADE」になっていましたから、アマロークでスペルが修正されたものも出ていると思われます。
「橋が燃えて」(FIRE BRIDGE)いたら、危なくで渡れませんので。

ドイツから写真が送られて来た時点で、私はスペルの正しいものを持っていると錯覚したのですが、それは「ハイラックス」であって、「アマローク」ではなかったのです。

裏板の生産年次シールは貼られていません。





 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──インターナショナル

VW アマローク ポリス (インターナショナル)

これもVWのアマロークで、英語でプリントされたインターナショナル向けの「ポリス」仕様です。
こちらは、ミス・スペルはないようです。

星のマーク、盾型のポリス・バッジなどを盛りだくさんにくっつけた架空系マーキングですが、「VW」のエンブレムをちゃんと付けています。

これも裏板の生産年次シールは貼られていません。生産年次シールの無いものは、(推測ですが)正規の出荷ルート以外からの、タイ工場からの流出品かもしれません。

特にミス・スペルなどのエラー品は、正規出荷ルートからは不良品としてハネられてしまう可能性が高い半面で、コレクターが珍重する可能性があるためです。
トミカでも、どう見ても正規には工場出荷されにくいエラー箱入りのものがネット上に流通したりしていた例がありました。




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ハンガリー向け

Vトヨタ・ハイラックス 消防(ハンガリー) ホイル違い

こちらは、アマロークではなくトヨタのハイラックス。
ハンガリー仕様で、以前に「ルノー・メガーヌU」から差し替えられた時点での3点アソート箱入りのものを掲載していますが、箱入りのものが「アミ目」状ホイルだったのに対して、ダブルの5本スポークに履き替えられています。

裏板の生産年次シールは、2013年7月。






 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ポーランド向けセット


マジョレットの緊急車は、更新が約半年あいてしまいましたが、新しいバリエーションが着々と増えて来ています。

ポーランド版については、これまでポルシェ996のハイウェイ・ポリス(5本スポーク)の青灯と赤灯を単品ブリスターで、タイ工場被災後の「ボルボ XC60」の警察・消防・ドクターカーの単品ブリスターを入手していましたが、今回、ポルシェ996/ルノー・メガーヌU/BMW M3の3点セットを入手しました。

ただしこれは、消防指令車に「ルノーメガーヌU」を入れていることでもわかるように、時期的にはタイ工場被災直後の古いものです。(2015/8/30)





#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ポーランド)

屋根上灯は青、ホイルは5本スポークで、単品ブリスターで入手していたものと同じ仕様です。
裏板の生産月次シールは「2011年6月」で、タイ工場の洪水被災(2011年10月)以前の生産分です。

ポーランド語もどうやら名詞が語尾変化するようですが、アルファベットの読みはドイツ語に似ていて、「c」は「ツェ」、「policja」は「ポリシア」ではなくて、「ポリツィア」になるようです。

「Prosze policje!」 (プロシェ ポリツィエン/警察を呼んでください!)



#221-C ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ポーランド)

裏板の生産年次シールは「2011年6月」で、タイ工場の洪水被災(2011年10月)以前の生産分です。
最近のセットは、消防は「トヨタ・ハイラックス」などに置き換えられていますから、タイ工場被災以前の生産であることは、生産月次のシールを見るまでもなく明らか、ということになります。

アミ目状のホイルを付けていますが、これを「5hc」と書いているサイトがありました。
いまのところ、「ポルシェ996」で「5hc」を付けたものはないようです。

側面に書いてある「straz」は「fire」の意味ですが、語尾は「z」の上に小さな点の乗っている「ジェット」という文字です。
 


#257-C BMW M3  ドクター・カー (ポーランド)

アミ目状の「5hc」ホイルを付けます。
裏板の生産月次シールは「2012年9月」です。タイ工場の復旧は2012年7月なので、これは復旧再開直後、ということになります。

3台セットとしての出荷はタイ工場再開後の2012年9月以降、このうちポルシェとルノー・メガーヌは、工場被災以前に生産していたストック分を同梱した、という理解になります。
 



 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──スウェーデン向け(ホイル替え)

#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (スウェーデン)

スウェーデン向けセットに入っていた「5本スポーク」のホイルを履いたものを入手していましたが、10本スポークのものが流通しています。

裏板の生産年次シールは、同じ2013年3月です。




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ノルウェー向け(塗装替え)

#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ノルウェー)

以前のノルウェー向け3台セットでは、ポルシェ・ポリスは白に赤と紺のストライプをひいた姿でしたが、どうやら実車の塗装変更に伴って、ミニカーのカラーも変わったようです。

デンマークでも「POLITI」の表記を使うので、はじめはデンマーク向けかとも思いましたが、ノルウェーポリスの塗装と確認できました。オランダとベルギーは「POLITIE」と表記します。

裏板の生産年次シールは、貼られていませんが、貼られていたものが脱落してしまったか、または正規の工場出荷ルート以外のところから流れて来た個体かもしれません。別に私は望んでそういうものを入手したいわけではありませんが、ネット上に出品されている状態ではチェックする手段もないのです。出品者の地域(国)からなんとなく類推できることもありますが、それとてもセカンドハンド品になれば、わからなくなってしまいます。




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──日本向け

#209D ポルシェ911 GT3 ハイウェイ・ポリス (日本向け〜インターナショナル)

このモデルは同じポルシェでも「996」ではなく、「911 GT3」です。

最近になって、日本国内販売用のカバヤ版で、ポリスカー5点が売り出されたのをご存知と思います。
各国版「SOSセット」に使われている、「ポルシェ996」「BMW M3」「トヨタ・ハイラックス」の「警視庁」仕様に加えて、「ダチア・ダスター」の警視庁、そしてこのインターナショナル仕様とも言える「911 GT3」です。

日本版5点は、私が存在を気が付く以前に、ドイツ人が早々に画像を送って来て、「入手できるか?」と言って来ました。これまでにドイツに3セット、オーストリアとフィンランドに1セットずつを送りました。

カバヤ版は各国版「SOSセット」のようにギフトセットとして売られているわけではないので、5種を揃えるのは結構至難です。スーパーでマジョレットを見かけても、だいたいポリスは子供たちが買ってしまったあとのことが多いのです。自分の分としてはこのインターナショナル仕様の「911 GT3」をかろうじてキープしている、というわけです。

この「911 GT3」に限っては、白黒塗装をしている以外、日本語のプリントはひとつもないので、、このままのカラーで海外でも出て来るかもしれません。
また、カバヤ版は、流通ルートが全く異なるので、生産月次シールや、生産ロット記号のプリントなどを一切付けていません。

フィンランドのコレクターに、マジョレットは日本ではチューインガム付きのキャンディ・トイだと言ったら、まったく知らなかったようで、大変に驚いていました。
またドイツでは、税関で留められたようで、ガム(食品)が検疫にひっかかったのではないかと心配しましたが、ガムが原因ではなく、税関まで取りに行くことで無事通関できたようでした。

最近になって、このモデルにもホイル替えが出ており、早速ドイツから画像付きで問い合わせが来ました。
各国のコレクターの情報の速さと執念には、恐るべきものがあります。
マジョレットの各国向け緊急車は、依然として各地のコレクターを悩ましています。











 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──オランダ向けセット

今回は、オランダ向け/ベルギー向けの、それぞれ3台セットです。

これまで、オランダ向けのものがないことを不思議に思っていたのですが、ロッテルダムの消防士の方が当サイトをご覧になってコンタクトをして来まして、交換で入手することができました。
Sikuのオランダ版3点を送ってくれたのと同じ人物です。

パッケージのデザインは最新のものなので、最近になってオランダ向けセットが発売になったのか、他の国と同様に以前からあったものがリニューアルされたのかは不明です。
オランダの人はやはりベルギーへはよく行き来をするようで、ベルギー向けのリニューアルセットも入手しました。
こちらからは、トミカのギフトセットを送っています。当然消防関係のコレクターですが、トミカは「ハイパーレスキュー」まで既に押さえているようでしたが、ギフトセットは持っていなかったようです。

パッケージを見る限り、オランダ向け・ベルギー向けの両セットともに特定の流通チェーンなどで売られたものではなく、マジョレット純正のようです。

当サイトで、ベルギーの小売大手の「コルルイ」社のグループが展開する「ドリームランド」というトイ・ショップ・チェーン向けの緊急車3点セット(オーストリアから送られて来たもの)を見て、ベルギーまで買いに行ったらしいです。違う組み合わせの3点セットが出ていたらしく、今後またベルギーに行ったら、買って来てもらうことになっています…。(2015/2/1)





オランダは、消防・警察・救急で緊急車のデザインを統一しており、緊急の電話番号も「112」に統一されています。Sikuなどでパラパラとモデル化されますが、こうして3台セットとして商品化されるのは、おおいに意味のあることかもしれません。もっと入手がしやすくなると良いのですが。依然として消防・ポリス・救急のコレクターは、「マジョレットSOSシリーズ」の情報に振り回されています。



トヨタ・ハイラックス 消防 (オランダ)

オランダ消防とベルギー消防の車輛デザインは非常に似ていますが、側面のストライプがオランダは青/白であるのに対してベルギーは青/黄色です。
ホイルはダブルのファイブ・スポークを付けています。

裏板に貼られた生産月次シールは、「BK030314」。表示システムが変わってしまったので、特定はできないですが、「2014年3月3日」でしょうか。入手時期としては符号します。




ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (オランダ)

白ボデイに青と赤の警戒色のストライプを付けた、まさしくオランダ警察のポルシェ。
裏板に貼られた生産月次シールは、「BK240214」。2014年2月24日でしょうか。




BMW M3  ドクター・カー (オランダ)

黄色ボデイに、ポリスと同じ青と赤の警戒色のストライプ。
裏板に貼られた生産月次シールは、「BK030314」。2014年3月3日でしょうか。
ホイルはダブルのファイブ・スポーク。





 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ベルギー向けセット


ベルギー向けのセットは既に以前にご紹介していますが、最近のものはパッケージが新しくなるとともに、消防が以前の「ルノー・メガーヌU」から、「トヨタ・ハイラックス」に変えられています。

3台アソートのパッケージは、以前は上からポリス/消防/ドクターカーの順でしたが、最近(ハイラックスに置き換えられて以降)は、消防/ポリス/ドクターカーの順になったようです。





トヨタ・ハイラックス 消防 (ベルギー)

マーキングは、ルノー・メガーヌUの時と同様のものです。
側面後部に「112」の電話番号のプリントが入りました。

裏板に貼られた生産月次シールは旧表示システムのもので、「2013年1月」になっています。




ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ベルギー)

ポルシェ996は、カラーリング/プリントはこれまでに売られているものと同じ。
ただしホイルが、以前の5本スポークのものから、10本スポークに変更になっています。
屋根上灯もブルーのままで、変わっていません。

ノレブ・3インチのベルギー「ドリームランド」特注セットに入っていた「ポルシェ997・カレラS」がベルギー警察の新塗装、マジョレットのこのモデルが旧塗装、ということになります。地域や所属組織の違いによるものではないようです。

裏板に貼られた生産月次シールは、「2012年12月」で、少し年次が古くなっています。




BMW M3  ドクター・カー (ベルギー)

BMWドクターカーも、黄色ボディに赤のバンドは同じ。
ホイルが、以前の5本スポークのものから、ダブルの5本スポークに変えられました。

裏板に貼られた生産月次シールは、「BK021213」。「2013年2月12日」ということでしょうか。他の2台の生産月次を考え合わせると、これも符号しているようです。









 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ドイツ向けホイル違い


今回は、ドイツ向けモデルのホイル違い3点、そしてそのうちの「ハイラックス消防」「BMWドクターカー」の、ドイツの衣料品店チェーン向けのプロモモデル、インターナショナル塗装の「ハイラックス」の合計6点です。
(2014/8/16)


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ドイツ警察) ホイル違い・通常品

ドイツ版の「ポルシェ996」、個装ブリスター版ですが、前回ご紹介しているものは「10本スポーク」のものでしたが、さらにホイル替えになり、ブリスターカードも新デザインになったものが出ています。

裏板の生産年次シールは、2013年8月。かれこれ1年経っていることになります。




トヨタ・ハイラックス 消防 (ドイツ消防) Ernsting's family プロモーション品

ドイツ版の消防で、これも「トヨタ・ハイラックス」になってから「アミ目状」ホイルのものを入手していましたが、これもホイルがダブルの5本スポークに、ブリスターカードも新デザインになっています。

裏板の生産年次シールは、ポルシェと同じ2013年8月です。



このモデル、実はカード裏面に「ERN Ernsting's family」というプリントがあります。
「Ernsting's family」(エルンスティングズ・ファミリー)というのは、「Ernsting's family GmbH & Co. KG」という会社のやっている、ドイツの衣料品店チェーンで、オンラインストアもあります。。
「Von frohlichen Familien empfohlen.」(ハッピー・ファミリーから推奨された)をブランド・メッセージにしています。

ちなみに「family」はドイツ語では「Familie」(Familienは複数)になるため、アポストロフィ・エスを含めて「Ernsting's family」は英語表記ということになります。「エルンスティング」は、「クルト・エルンスティング」という創業者の名前です。

男児・女児の子供服も扱っているので、「Ernsting's family」の店舗やサイトで売られたか、景品または販促品として使われたものでしょうか。日本で「モリリン」という繊維商社が、トミカのパトカーのプロモ・モデル(子供服とのセット)を作りましたが、これと似たような目的のものかと想像しています。

おそらく「特注品」(promo-models)ということになるのだと思いますが、私はカード裏に「ERN Ernsting's family」の表記があるから入手したわけではなく、ホイル違いとして入手しました。
入手先のドイツ人は「Ernsting's のロゴがある、プロモ・モデル」と言っていましたが、これだけでは何のことかわかりませんでした。





BMW M3  ドクター・カー (ドイツ) Ernsting's family プロモーション品

BMW M3 のドクターカー、これも「アミ目状」ホイルのものを入手していましたが、ホイルがダブルの5本スポークに、ブリスターカードも新デザインになったものです。

これもカード裏面に「ERN Ernsting's family」のプリントがある、プロモ・モデルです。
裏板の生産年次シールは、同じ2013年8月です。

おそらく「ポルシェ996」でも、「ERN Ernsting's family」のプリントのあるものが作られているのではないでしょうか。







トヨタ・ハイラックス 消防 (ドイツ消防) ホイル違い・通常品

同じ、ダブル5本スポークのホイルを付けたハイラックス(ドイツ消防)ですが、こちらはブリスターカード裏面に「ERN Ernsting's family」の表記がない、通常販売品です。

下の画像で、右が「Ernsting's family」用で、右下部分にその表記があります。左は通常品で、この部分にはバーコードが印刷されています。

ミニカー本体に変わりしないようですから、このパッケージ違いをコレクションする必要はないのですが、私の場合、偶然にオーストリアの交換相手からから送られて来て、入手しました。




「Ernsting's family」プロモーション品では、これまでと同じスタイルの生産年次シールが貼られ、「2013年8月」の表記でしたが、この通常品では、「BK161213」という、これまでとは違う形式の記号+6桁の数字が印刷されています。
これも、生産月次や生産ロットを示しているのかもしれませんが、少なくとも部外者が見ても、生産月次が特定できないものになってしまいました。
もっとも、これまでのものは、部外者・素人が見ても、生産状況が推測できてしまいますから、新形式に移行するのもわからないではありません。




BMW M3  ドクター・カー (ドイツ) ホイル違い・通常品

BMW M3 のドクターカーで、同じくホイル違い、「ERN Ernsting's family」のプリントのない通常品です。
ミニカーが逆を向いていますが、いったん開封されているためのようです。




これも、裏板のシールは新形式のもので、ハイラックスとは数字の文字列が違います。
「BK」は「バンコク」でしょうか?




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──インターナショナル

#292-B トヨタ・ハイラックス 消防 (インターナショナル)

派手な塗装のハイラックス消防で、ボディ上のプリントの表記は英語になっています。
イギリス/アメリカの特定のマーキングを再現したものというよりは、インターナショナル汎用輸出を想定した、架空系の塗装でしょう。

ポルシェ996で英語版のハイウェイ・パトロールが作られていますが、それと同種のモデルであろうと思います。

裏板の生産年次シールは、これも新形式のものです。









 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ハンガリー向け新セット


今回も、新しい国のものではなく、タイ工場再開後に車種やホイルを差し替えたバリエーションです。

ハンガリー向けのセットは、既にずいぶん以前に掲載していますが、この時は消防が「ルノー・メガーヌU」でした。今回のものは、消防が「トヨタ・ハイラックス」に替わるとともに、ポルシェ/BMWのホイルも違うものになっています。パッケージも、「S.O.S. CARS」と表記した、新しいデザインのものに替わりました。(2014/6/15)





やはり、「ルノー・メガーヌU」の金型は、タイ工場の洪水被災に際して何らかのダメージを受け、再開後には使われていないように思います。またホイルも、被災以前に使われていた「5本スポーク」のものは、再開後には使われていないようです。これは、部品の調達上の関係か、あるいは同じ車種でも違うホイル・パターンのものが登場して来ることから見て、生産時期の識別のために意図的に替えられているのかもしれません。

マジョレットはこの「S.O.S. CARS」という表現を「緊急車両」(Emergency Cars)という意味で使っていますが、
アメリカのサイトなどを見る限り、「SOS CARS」というと、故障車をリカバリーに来てくれる救援車であったり、「CAR SOS」というと部品生産が終わってしまった古いクルマのためのレストア事業者であったり、少し違った意味で使われているようです。

ドイツ人なんかは、マジョレットのこのシリーズをごく自然に、「SOSセット」と言って来ますけれど。


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ハンガリー)

ハイウェイ・パトロールのポルシェは、マーキングは同じで、ホイルが10本スポークのものになりました。
屋根上灯はブルーのままですが、以前のものよりブルーの色が濃くなっています。

裏板に貼られた生産月次のシールは、「2012年10月」です。(タイ工場の復旧・再開は2012年7月)




トヨタ・ハイラックス 消防 (ハンガリー)

消防は、「ルノー・メガーヌU」から、「トヨタ・ハイラックス」に差し替えになりました。
ホイルは、「アミ目」形状の新しいものを付けています。

これも裏板に貼られた生産月次のシールは、「2012年10月」です。




BMW M3  ドクター・カー (ハンガリー)

ホイルが、「ダブル×5本」の形状のものに替わっています。
これだけ、裏板に貼られた生産月次のシールが、「2013年7月」になっています。
ホイルが違うのは、生産年次が新しいから、とも考えられます。

ということは、セット全体の出荷時期は、遅い方に合わせると「2013年7月」以降ということになるでしょうか。




BMW M3  ドクター・カー (ハンガリー)

こちらはセット品ではなく、ブリスター単品ですが、同じ「BMW M3 ドクター・カー」のハンガリー仕様です。
ホイルが、セット品に入っていた「ダブル×5本」ではなく、「ハイラックス」と同じ「アミ目状」を付けており、裏板に貼られた生産月次のシールは、「2012年10月」になっています。
セット中の「ハイラックス」と全く同じ生産月次で、生産時期によってホイルが替わっていることがはっきりします。

部品供給の関係か、コレクターが探すことをねらっての、意図的な変更か、のどちらかです。

ホイル違いを探している場合、ネット上の画像で特定のホイルを付けたものを発見して購入しても、画像とは違ったホイルを付けたものが送られて来る場合があります。特に大きなショップでは、在庫は更新されて行きますし、ショップにとっては同じ品番であれば「ホイルの違い」なんて意識していないからです。

なので、「画像に写っている、このホイルが付いたものを送ってくれ」と、ひとこと書き添えることをお奨めします。






 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──スウェーデン向け(ホイル替え)

BMW M3  ドクター・カー (スウェーデン)

これも、以前は「5本スポーク」を付けていましたが、「アミ目状」ホイルに変更になったものが出ています。屋根上灯が赤から青に替えられています。

裏板に貼られた生産月次のシールは、「2013年3月」です。

「ポルシェ」と「BMWドクターカー」については、「5本スポーク」のホイルから変更になったものが、他国向けのマーキングのものについても、ほぼ必ず発生している、と言っていいように思います。

しかし「ルノー・メガーヌU消防」は、タイ工場再開後には作られていないので「5本スポーク」のみ、逆に「トヨタ・ハイラックス消防」はタイ工場再開後のみのため、「5本スポーク」はない、ということになりそうです。







 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ノルウェー向け(ホイル替え)

BMW M3  ドクター・カー (ノルウェー)

これも、以前は「5本スポーク」を付けていましたが、「ダブル×5本」に変更に替えられました。同じく屋根上灯が赤から青に替えられています。

裏板の生産月次のシールは、貼られていません。










 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──スペイン向けセット


ディッキー金型の「ボルボ XC60」の3点セットで、スペイン向けのものを発見。

マジョレット・タイ工場の洪水被災による操業停止にあたって、急遽、マジョレット買収以前にディッキーが開発していた金型を使って、中国工場で生産されたものです。

ただし入手したものは、ポリス/消防/ドクターカーの3点アソートの箱入りではなく、1台ずつブリスターパックになっています。
裏板に貼られている生産月次シールは「2012年3月」になっていて、ノルウェー向けのセットと同じ月次です。


スペイン向けというのは、タイ工場被災前の、ポルシェ996/ルノー・メガーヌU/BMW M3 の3点セットをそもそも見つけていない状況ですが、ボルボXC60金型でスペイン向けモデルが初めて作られたのか、ポルシェ/メガーヌ/M3の金型を使ったものが存在するのか、判然としません。

Sikuなどでもそうですが、こういった各国市場向けのプリント違いの製品は、カタログなどで体系的に紹介されることがなく、現物を発見次第に入手していく、ということになってしまい、なかなか全容が掴みきれなくなってしまいます。このスペイン向け3点については、ドイツのコレクターから入手しましたが、彼はノルウェー向けセットが未入手だと言っていました。私の入手したノルウェー向けセットはフィンランドのコレクターを経由したものです。
(2014/4/13)


ボルボ XC60  ポリス・ワゴン (スペイン)

ボンネット上に付けているエンブレムは、スペイン国家警察(Cuerpo Nacional de Policia, CNP)のものです。ブルーと白の塗り分けに、赤と黄色のスペインのナショナル・カラーを付けています。

例によってホイルが残念ですが、プリントもキレイで、3インチ・サイズのスペインの緊急車というのも貴重ですから、いいモデルと言えるでしょう。

スペインも警察、消防、救急すべての共通番号の「112」を使用していますが、ボディにプリントされている「091」は国家警察の専用番号です。(市警察は「092」、治安警察は「062」。)

裏板の生産月次シールはタイ工場被災後・再開前の「2012年3月」で、これは3台とも同じです。




ボルボ XC60  消防指令車 (スペイン)

「bomberos」は、アルゼンチン生産のホットホィールなどにもプリントされている言葉で、「消防」(fire fighters)の意味です。

ボデイ後部の「080」は消防の専用番号です。



ボルボ XC60  ドクターカー (スイス)

他の国では見られない、黄色に赤のバンドをひいた鮮やかな塗装のドクターカー。
ワゴン型の車両だからと言って、変に患者搬送車にしないところが良心的と言えるでしょうか。

「sem」のプリントがありますが、「Servicios de Emergencias Medicas」の略で、すわわちスペイン語で語順が変わっているだけで「EMS」(emergency medical services/救急医療)の意味です。

「061」は救急の専用番号です。






 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──スイス向けセット

次はスイス向けの3点ですが、これも3点アソートの箱入りのものと、単品ブリスターの両方が存在するようです。

イタリアのコレクターから、「スイス向けセットを持っているか?」と言って来てくれたのですが、そのセットの画像は「S.O.S. Cars」と表記した以下3点のモデルがひとつのアソート箱に入っていました。

ところがその時点で、既にポルシェ・ポリツァイと「TCS」を単品ルースで入手していたために、消防の単品ブリスターを探して来てもらったものです。


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (スイス警察)

箱もブリスターもなく、ルース単品で出品されていたものを購入しました。
マーキングは明らかにドイツ語ですが、ドイツ警察/オーストリア警察のものではありませんから、他に残ドイツ語を話す住民のいるところと言えば、スイスということになり、実車の画像のマーキングを参考にしてスイスのものと特定したものです。

裏板の生産月次シールは、ありません。



フォード・エコノライン (スイス消防)

消防は、金型はルノーメガーヌUでも、トヨタ・ハイラックスでもなく、フォード・エコノラインが使われています。イタリア向けでもエコノラインを使っていました。

マーキングはドイツ語「Feuerwehr」(フォイエル・ヴェーア)ですが、緊急電話番号として「118」をプリントしています。
ドイツ消防は「112」、オーストリア消防は「112」または「122」なので、スイス向けマーキングであることの証明になっています。スイス消防も「112」を使いますので、意図して「118」をプリントしている、ということでしょう。

裏板の生産月次シールは、タイ工場再開後の「2013年6月」になっています。(タイ工場の復旧は2012年7月)




ボルボ XC90 TCS・ワゴン (スイス)

「TCS」のロード・パトロールカー。「TCS」は「Touring Club Schweiz 」の略で、スイスにおけるロードサービス組織です。ただし「ACS」(Automobile Club de Suisse/スイス自動車クラブ)という組織も別にあります。

ディッキー金型のボルボXC60(中国工場生産)ではなく、もともとマジョレット金型のXC90(タイ工場生産)を使っています。

側面の「patrouille」はフランス語の「patrol」のことで、ポリス/消防をドイツ語マーキングにした分、TCS車両をフランス語マーキングにしてバランスをとっています。

緊急車シリーズにロード・パトロールカーが登場するのは初めてなので、今後の展開が注目されます。
「S.O.S. Cars」の3点セットの中に「TCS」カーが入れられているところから見て、スイス向けではドクターカーが作られていないものと想像しています。

裏板の生産月次シールは、ありません。









 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ノルウェー向けセット


今回は、まずディッキー金型の「ボルボ XC60」のノルウェー向け3点セット。

すなわち、マジョレット・タイ工場の洪水被災による操業停止にあたって、急遽、マジョレット買収以前にディッキーが開発していた金型を使って、中国工場で生産されたものです。(2014/2/2)




ポリス/消防/救急の3台ともが「ボルボ XC60」になっている点は、これまでにご紹介している英語表記のインターナショナル・セット、ドイツ語版のセットと同じです。

3台セット箱ではなくブリスターの個装ですが、ポーランド向けでもポリス/消防/救急の3台が「ボルボ XC60」になっているものもご紹介しました。

少なくともタイ工場の操業停止中の代替生産品として、この「ボルボ XC60」はノルウェー/ドイツ/インターナショナル(英語マーキング)/ポーランド、そしてフランス・ポリスを確認したことになります。

おそらくフランス語版は、消防/救急も作られているように思いますし、やはりタイ工場の操業停止中には、それなりの規模の代替生産と出荷が中国工場から行われていたことをうかがわせます。


ボルボ XC60  ポリス・ワゴン (ノルウェー)

ノルウェー版のポリスは、タイ工場で「ポルシェ996」のものが既に作られていますが、塗色とマーキングはポルシェに準拠したものです。
裏板の生産年次シールは、タイ工場被災後・再開前の「2012年3月」です。これは、3台とも同じです。




ボルボ XC60  消防指令車 (ノルウェー)

ノルウェー版の消防指令車は、「ルノー・メガーヌU」のものが作られているので、塗色とマーキングはこれに準拠しています。タイ工場で「メガーヌU」の金型での生産ができないことへの代替生産ですから、カラーやデザインを変えている余裕はなかった、ということでしょうか。

中国工場に特有の、「菊の花」のようなパターンのホイルを付けます。
塗装や文字のプリントなどは全体にキレイですが、どうもこのホイルがあまりよろしくありません。




ボルボ XC60  ドクターカー (ノルウェー)

ノルウェー版のドクターカーは、「BMW M3」のものが作られているので、黄色い塗色とグリーンのチェッカーマーキングはこれに準拠しています。





 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──フランス向け新セット


フランス語版のポリス/消防/救急の3台セットは既にご紹介をしていますが、以下は消防が「トヨタ・ハイラックス」に置き換えられた新しいものです。
ポルシェ・ポリスととBMW・ドクターカーも、ホイルと屋根上灯の色が異なっています。





ポルシェとBMWの裏板の生産年次シールは「2012年4月」で、これは、タイ工場の被災(2011年秋)の後、操業再開(2012年7月)の3か月前という微妙なタイミングになります。
ハイラックスは「2012年10月」、つまり明確にタイ工場再開後で、セット全体がタイ工場の生産再開後に出荷されものでしょうか。

また、「2012年6月」の生産年次シールと、青の屋根上灯、アミ目パターンのホイルを付けた「ルノー・メガーヌU」消防も作られており、消防を(ハイラックスではなく)この新ホイルのルノー・メガーヌUとしたセットも出荷されているかもしれません。

金型やホイルなど、いろいろなパターンのモデルが発見されることで、いずれにしても状況はかなり複雑になって来ています。


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (フランス国家警察)

以前にご紹介しているものは、5本スポークのホイルに屋根上灯は「赤」でしたが、この個体は10本スポークのホイルに「青」の屋根上灯を付けます。
裏板の生産年次シールは、タイ工場再開前の「2012年4月」になっています。




トヨタ・ハイラックス 消防 (フランス)

タイ工場再開後の生産分では、消防は「ルノー・メガーヌU」ではなく、この「ハイラックス」に置き換えられているようです。
裏板の生産年次シールは、タイ工場再開後の「2012年10月」になっています。




BMW M3  ドクター・カー (フランス)

これも以前にご紹介しているものは、5本スポークのホイルに屋根上灯は「赤」でしたが、この個体は「アミ目状ホイル」に「青」の屋根上灯を付けます。
裏板の生産年次シールは、タイ工場再開前の「2012年4月」になっています。




ルノー・メガーヌU 消防司令車 (フランス)

以前にご紹介しているものは、10本スポークのホイルに屋根上灯は「赤」でしたが、この個体は「アミ目状ホイル」に「青」の屋根上灯を付けます。
裏板の生産年次シールは、タイ工場再開直前の「2012年6月」になっています。

タイ工場再開後の生産分で、消防が「ハイラックス」に置き換えられているのは、「ルノー・メガーヌU 」の生産が洪水被害でむずかしくなったためではないか、と考えていたのですが、そう考えると、この青灯と新ホイルを付けたメガーヌはいったい何なのでしょうね。









 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──インターナショナル・セット


今回は、英語マーキングのインターナショナル・セットのほか、ボルボXC60のフランス・マーキング、BMW M3のドイツポリス、ロシア語ドクターカーなどを見つけました。どうやらいずれも、ちょっと変則的な仕様のようです。
 (2013/11/17)




英語マーキングをプリントとした、インターナショナルセット。
ドイツ人コレクターからトレードで入手しましたが、彼はこれをノルウェーから買ったそうです。
ポリス/消防/救急の3点アソート箱に入れられています。

箱の正面に「239」の値札がありますが、単位は「クローネ」で、実はノルウェーは非EU国家なので、スイスフランと同じようにノルウェークローネという独自通貨が使われているのです。
239ノルウェークローネは、だいたい30ユーロ弱、40USドルぐらいになります。

3インチ・サイズのミニカーは、玩具の価格として考えた場合には300円から500円ぐらいが順当なところですから、3台セットでは1000円から1500円ぐらいでなければなりません。

ノルウエー国内で240クローネしているということは、子ども向け玩具としては高価すぎることになり、コレクター向けの販売価格ということになります。そもそもドイツ人がノルウェーから入手しなければならないということは、ちっとも「インターナショナル」な商品ではないことになります。

ノルウェー語プリントの3台セットのオファーもありましたが、こちらは既に持っているものと、プリント/ホイル/屋根上灯カラーともに同じだったので、入手はしませんでした。


#209 ポルシェ996 ハイウェイ・ポリス (インターナショナル) 屋根上灯違い

ポルシェのインターナショナル(英語)版は、インターナショナル5点セット中のものを既にアップしていますが、それが屋根上灯「赤」だったのに対して、これは「青」を付けています。

裏板の生産月次シールは、タイ工場被災前の2011年7月
ホイルはタイ工場被災前の旧タイプ(5本スポーク)です。




#221-C ルノー・メガーヌU 消防司令車 (インターナショナル)

ルノー・メガーヌUの消防で、英語版プリントというのは、はじめて見ます。
ボンネット上に大きな消防エンブレムを付けます。

裏板の生産月次シールは、タイ工場被災後(再開以前)の2012年3月
タイ工場再開後は、消防はトヨタ・ハイラックスに置き換えられているので、再開以前のものと推測できます。
タイ工場被災前に生産し、在庫されていた分でしょうか。

3台セットのうちで、これだけが屋根上灯が「赤」です。
   



#257-C BMW M3  ドクター・カー (インターナショナル)

BMW M3 のドクター・カーで、これも英語版プリントというのは、はじめて見ます。
ボディは白ではなく、黄色で塗られています。

裏板の生産月次シールは、タイ工場被災後(再開前)の2012年4月

ポリス/消防/救急の3点の生産月次は全て異なっていることになり、在庫分を集めて箱に詰めたような感じになっています。
少なくとも洪水被災前の出荷でも、工場再開後の生産分でもなく、それが、30ユーロの価格が付いている理由かもしれません。
   



 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──フランス

ボルボ XC60  ポリス・ワゴン (フランス)

ディッキー金型の「ボルボ XC60」のフランス版ポリス。
すなわち、マジョレット・タイ工場の洪水被災による操業停止にあたって、急遽、マジョレット買収以前にディッキーが開発していた金型を使って、中国工場で生産されたものです。

前回、この金型を使ったポーランド版(ポリス/消防/救急)をご紹介しましたが、今回フランス版ポリスを発見しました。

裏板の生産月次シールは「2012年3月」で、ポーランド版と同じ、タイ工場の被災後・再開前であることを示します。「MADE IN CHINA」のモールドがあり、マジョレットのブランド・ロゴは、モールドではなく白でプリントしています。

明らかにマジョレット製の他のモデルとは違う、8本スポークのホイルを履きます。現状では、このホイルが「中国工場製」の目印になっています。

「ポリス」が存在するということは、おそらく消防と救急も作られているのでしょう。
ルース品として入手しているため、ポリス/消防/救急の箱入り3台セットだったのか、ブリスター単品であったのかは不明です。   





 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ドイツ

BMW M3  ポリスカー (ドイツ)

マーキングはドイツ版ですが、金型はポリス用定番の「ポルシェ996」ではなく、通常は「ドクター・カー」用に使われている「BMW M3」の金型が使われています。

裏板の生産月次シールは「2012年3月」(タイ工場の被災後・再開前)になっていて、これが理解に苦しむところです。洪水被災したタイ工場が生産再開するのは、これまで見て来た限りでは「2012年7月」出荷分からで、「2012年3月」はまだ操業停止中のはずです。その証拠に、中国工場でのディッキー金型による生産品のシールが「2012年3月」になっていることを、上でご覧いただいたばかりです。
果たして、このイレギュラーなBMWポリスは、どこの工場から出荷されているのでしょうか。

このモデルも、ドイツ人コレクター経由で入手しているのですが、彼はホイルを重要な識別点と考えているようで、「(1)タイ工場被災前」「(2)中国工場製」「(3)タイ工場再開後」という3つの時期で分けているようです。

(2)は、菊の花のような独特のもので、少なくともタイ工場からの出荷品には付けられていないようなので、簡単に識別できます。(上のフランス語マーキングのボルボXC60に付けられているもの)

(3)では、10本スポークのもの、アミ目状のものがあり、これらは(1)の時期でも使われているのですが、(1)で使われていた5本スポークのものは、(3)以降では使われていないようなのですね。
「使われていない」のではなく、「使うことができなくなってしまった」とも考えられるわけです。

入手先のドイツ人コレクターが言うのは、このBMWポリスは5本スポークを履いているので、少なくともタイ工場再開後のものではない、タイ工場被災前のパーツを使ったもので、大変にレア、みんなが探している、ということでした。

「2012年3月」という生産月次シールのことを考えると、生産可能な条件の中で作られた、例えば、ダイキャス成形はできないが既存のパーツを使ってアセンブリーだけしたとか、生産本格開始前のテストショット的なものだとかで、そのために生産数が少ないのかもしれません。






ブリスターカードの裏面にラベルが貼ってあり、英語でもドイツ語でもありません。
文中に「Jakarta」の文字があることに気づき、そういえばドイツ人コレクターが「アジアから入手した」と書いていたのを思い出し、設定をインドネシア語(Bahasa Indonesia)にしてみたところ、自動翻訳がうまく訳してくれました。


【インドネシア語】
Di Impor Oleh: CV Bariel & Co. Jakarta
Negara Asal: Thailand
Bahan: Besi Campuran dan Plastic

Bahaya jika tersedak
Bagian kecil. tidak untuk anak dibawah 3 tahun


【英訳】
In the Import By: CV Bariel & Co. Jakarta
Country of Origin: Thailand
Material: Iron Mixture and Plastic

If choking hazard
Small parts. not for children under 3 years


明確に「タイ製」なのですね。タイ工場からの出荷品なのてす。

ドイツ人コレクターが「アジア」から入手していることを考えると、ヨーロッパには出荷されなかったのでしょうか。
彼が言うには、タイ工場が洪水被災する前では最も遅い時期のデザインで、洪水の被害を受けなかった製品ロットが少ないということでした。マジョレットのコレクターの多くがこの6か月間探すものの1台も発見できず、彼がアジアのコレクターが持っているのを見つけて、5台のストックの全部を買い取った、ということでした。

どうやらタイ工場の洪水被災前に、生産・在庫されていたもので、洪水で水をかぶらなかった一部の在庫品が、2012年3月になって少数が出荷された、ということでしょうか。
裏板には「2012年3月」のシールが貼られていますから、ブリスターへの包装は2012年3月にされていることになります。出荷量が少ないなどの理由で、ヨーロッパにまで供給されなかったのかもしれません。

各国語マーキングを探すだけでも厄介と考えられていたこのシリーズは、タイの洪水による生産停止という事態によって、いっそうコレクション事情を複雑化させています。




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ロシア

BMW M3 ドクター・カー (ロシア)

BMW M3 の「ポリツァイ」と同じ、「2012年3月」(タイ工場の被災後・再開前)の生産月次シールが貼られたBMW M3 のドクター・カーで、側面にはロシア語のプリントがあります。
これも、カード裏面にはインドネシア語のラベルがあり、生産量は少なかったようです。

通常の事情であれば、ポリス/消防/救急の3点でロシア語版が作られていると考えられるわけですが、上記のようなタイ工場の洪水被災の状況があるので、ロシア版のポリスと消防が存在するのかどうかはわかりません。

側面に書いてあるロシア語は、「Emergency Medical Help」の意味で、キリル文字をアルファベットに置き換えていくと、「Skoraya Meditsinskaya Pomosch/スコラヤ・メディツィンスカヤ・ポモシュ」といった感じでしょうか。
「skoraya」が「emergency」、「Meditsinskaya」は「medical」、「pomo」で「assistant」、「pomosch」で「help」といった意味になるようです。














 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ポーランド


ポーランド向けについては、これまで「ポルシェ996 ハイウェイ・ポリス」の単品ブリスター版で、赤灯と青灯の2点を入手していましたが、今回同じく単品ブリスター版のポリス/消防/救急の3点を入手。

ただし車種は全て「ボルボ XC60」で、マジョレット・タイ工場が洪水で被災して操業停止している間に、ディッキー金型を使って中国の工場で生産されたものです。
裏板に貼られた生産月次シールは「2012年3月」で、この点を裏付けます(タイ工場の復旧は2012年7月)。







ポーランド向けでは、未入手ですが「BMW M3」のドクターカーの赤灯と青灯、「ルノー・メガーヌU」の消防の赤灯と青灯も作られています。
「ポルシェ996」「ルノー・メガーヌU」「BMW M3」の方が生産は古く、ディッキー金型の「ボルボ XC60」は、これらの後の生産になります。

ポーランド版については、前回の「ポルシェ996」も含めて、ドイツから送られて来たものです。
こちらからは、トミカのイベント・モデル(ポルシェ911・ポリツァイ)、中国向けのランサー・エボリューション・ポリス、トイズ・ドリーム・プロジェクトのパジェロ英国警察、アピタ・ピアゴ・オリジナルのNSX・イタリア警察を送っていますが、何と既に全部持っているとのこと。ただ、ヨーロッパのコレクター同志の交換に使うので、歓迎する、ということでした。

イイノ特注ポリスカーの、屋根上コールサイン違いのバリエーションを提示して、ようやく「これは全て持っていない。こういうバリエーションがあるとは知らなかった。」という回答が来ました。
ヨーロッパの3インチ・緊急車コレクター恐るべし。 (2013/8/4)


ボルボ XC60  ポリス・ワゴン (ポーランド)

何度も書いて来たように、マジョレットの持っていた金型は「ボルボ XC90」で、前回イタリア版としてご紹介したもの。これは「ボルボ XC60」で、ディッキーの金型です。
タイ工場の製品に対して、ホイルのクォリティが見劣りします。

ディッキー金型のXC60(中国生産)は、タイ工場が停止した間の全くのピンチヒッターなわけですが、それがポーランド仕様まで作られていた、ということにまず驚きます。

裏板にはマジョレットのロゴをモールドではなく、白インクでプリントしています。

ポランドのポリスカーは、ほとんどドイツのものと同じカラーリングですが、側面の表記が「POLICJA」で、これは「ポリツィア」と読むようです。

ポーランドの警察は国家警察(国家警察に対する制度は自治体警察)で、警察庁、国境警備庁、消防庁、市民防衛隊などとともに、「内務・行政省」の所管でしたが、2011年11月21日に「社会基盤省」と合併して、「行政・デジタル化省」に再編されました。

  


ボルボ XC60  消防指令車 (ポーランド)

同じく「ボルボ XC60」の消防指令車。
側面に書かれている「STRAZ」は、おそらく「Ochotnicza Straz Pozarna」 (Volunteer fire brigade)の表記で、市町村の非正規消防隊の意味だと思われます。

ポーランド語は「解体新書」状態ですが、国境警備隊「Straz Graniczna」(Polish Border Guard/SG )ではないものと思います。「318 D 90」の意味についてはお手上げ。

ポーランド国内での緊急要請電話番号は、消防「998」、警察「997」、救急「999」で、いずれも携帯電話からかける場合はEU共通番号の「112」となっています。

  


ボルボ XC60  ドクターカー (ポーランド)

ボンネット上に「P」の文字がありますが、ポーランドには救急救命車両に2つの種別があります。

まず、上位種別である「S」(旧制度では「R」)は、医師1/救急救命士資格を持つ看護師1/救急救命士資格を持つ運転士1の3名搭乗です。

これに対して種別「P」(旧制度では「W」)は、種別「S」と同等の3名搭乗以外に、救急救命士資格を持つ看護師1/救急救命士資格を持つ運転士1の2名搭乗のケースが許容されます。つまり種別「P」では、医師が同乗していない場合があります。

  




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──アメリカ

#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (アメリカ)

各国向けハイウェイ・ポリスになっている「ポルシェ996」ですが、黒/白の塗装に「POLICE」の英文を入れて、「アメリカ」ふうとしたもの。

とは言え、ネットオークションではあまり出て来ず、アメリカ市場で販売されているというよりは、「アメリカン・ポリスカー」をヨーロッパ市場で販売するための商品なのではないでしょうか。

今回のものはオーストリアから送られて来ていますが、ドイツ/イタリアからもオファーがありました。

シールド(盾)と星を組み合わせたエンブレムは、アメリカの自治体警察で確かによく使われるものではありますが、屋根上やボンネット上にもプリントされているのは全く余分なことです。

せめてボンネット上のプリントはなくし、屋根上は数字のコールサインにすれば、もっと「それらしく」なるものと思いますが、そもそも「ポルシェ」と「アメリカン・ポリス」が最大のミスマッチなので、これぐらいのサービスはやっておいた方がいいのかもしれません。

  


#275A スバル・インプレッサ WRC ポリス (アメリカ)

この「インプレッサ」と、「ポルシェ996」、トレーラー式のカートランスポーター、ボートと運搬トレーラーが、いずれも白/黒のポリス塗装で、ギフトセットになっていたようです。
これら全部がセットになっているのか、セットが2種類あるのかは、未確認です。

ゴールドのホイルを履いた派手な仕様ですが、この金型の方が、各国向けポリスカーとしては期待が持てる素材です。ただし、屋根上灯が省略されているのが難でしょうか。

  



 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──イスラエル

#270-C フォード・エコノライン (イスラエル警察)


これもドイツから送られて来たもので、ヘブライ語のプリントを施された、イスラエル向けのもので、マジョレットがズィンバ・ディッキー・グループ傘下となる以前のものです。

この「フォード・エコノライン」では、日本市場向けの救急車(東京消防庁)や、警視庁バンが作られていますが、それと同時期のものと考えて良さそうです。

エンブレムは、「ダビデの星」で、側面のヘブライ語は「POLOCE」の表記と思われます。
下は、グーグル翻訳で「POLICE」をヘブライ語訳にした時の表記です。つくづく、便利な時代になりました。



入手したものは5本スポークのホイルを履いていますが、6本スポークのものもあります。
また、赤いダビデの星を描いた、白い救急車も作られました。
交換相手は本来はポリスカー・コレクターなので、イスラエルの救急車までは手が回っていないようです。

  








 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──イタリア


イタリア版としては、BMW M3 ポリスの「カラビニエリ」(イタリア国家憲兵)仕様を確保していたものの、他の国向けのような、ポリス/消防/ドクターカーの3台セットは見かけることがありませんでした。

ところが、鮮やかなブルーに「Polizia」のマーキングをした「ポルシェ996」を発見。
さらに「フォード・エコノライン」による、救急車と消防バンを発見しました。

いずれもイタリアの同じ出品者がネット・オークションに出品したものですが、1点だけの出品だったために「それなり」の価格になってしまい、ポリス/救急の2点は、「セカンド・チャンス・オファー」(出品者が同じ商品をもう1点持っている場合、次点の入札者が入札時の価格で購入できるシステム)で入手したものです。(2013/4/28)


#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (イタリア国家警察)

イタリア国家警察(Polizia di Stato)のカラーをまとった、ポルシェ996。(品番・金型番号は「#209」)

イタリア警察は、ランボルギーニ・ガヤルドのポリスカーを実際に使っていることで有名です。
ネット上には、同じブルーのフェラーリ458「Polizia」の画像までありましたが、ポルシェの配備に関しては未確認です。

「緊急車3点入りBOX」ではなく、個装のブリスターですが、裏板に貼られていた、生産年次(月次)を示すシールがありません。ただ、登場の仕方・時期から言って、マジョレットタイ工場の復旧後の出荷品(2012年7月以降)と考えています。

マッチボックス60周年の記念モデルとして、ランボルギーニ・ガヤルドの「Polizia」が作られており、「アピタ ピアゴ オリジナルトミカ」では、何とHonda NSXのイタリア警察仕様が作られて、3インチ・サイズのポリスカーではちょっとした「イタリア」ブームになっています。
アピタ ピアゴ のNSX「Polizia」は、イタリア人やドイツ人とのトレード(交換)のネタに使ってみようと思っています。

イタリアでの緊急時の電話番号は、EU共通番号の「112」で警察・消防・救急共通に通報できますが、

国家警察 113(救急車要請も可)
国家憲兵(カラビリエリ) 112(救急車要請も可)
消防車 115
救急車 118
と、それぞれ独自の番号も持ちます。
これ以外にも、財務警察:117、森林警備隊(山火事):1515、救急・山岳救助:118 とのこと。

ポルシェは国家警察ですから、「113」をプリントしています。  
  


#270-C フォード・エコノライン (イタリア消防)

ズィンバ・ディッキー以降の「緊急車3点セット」では、タイ工場被災以前は消防指令車として「ルノー・メガーヌU」を、被災復旧後は「トヨタ・ハイラックス」の金型を選んで来ているのですが、イタリア版については「フォード・エコノライン」(品番・金型番号は「#270-C」)を選んでいます。

この「エコノライン」の金型は、カバヤ食品との提携製品である日本版でも「警視庁」仕様になっており、決して新しい金型ではありません。

ズィンバ・ディッキー以降では、フィンランド版で、黄色い救急車になっているのを既にご紹介しています。
これも裏板に生産年次(月次)を示すシールはなく、この金型が使われた理由はよくわかりません。

「vigili del fuoco」は、「fire brigade」(消防隊)の意味です。
  


#270-C フォード・エコノライン (イタリア救急)

同様に救急でも、これまで「緊急車3点セット」で使われて来た「BMW M3」のドクターカーではなく、「フォード・エコノライン」の患者搬送車になっています。
裏板に生産年次(月次)を示すシールはありません。

マーキングは、イタリア赤十字(クローチェ・ロッサ・イタリアーナ)などの表記はなく、単に「Ambulanza」としています。


#257-C BMW M3(イタリア国家警察)警察署ガレージ付き

さて、ここからは、マジョレットの動向を考えるには、ますます不思議なモデル群です。
ひとつは、これまで「ドクターカー」の専用金型だった「BMW M3」(品番・金型番号は「#257-C」)を鮮やかなスカイブルーに塗った、イタリア国家警察仕様ですが、何とプラスチック製の「警察署ガレージ」とセットにして売られました。

窓やドアのモールドがあり、前面のシャッターが手動で開閉するようになっています。
1960年代前半に、Sikuがプラスチック製の製品を作っていた頃のプラ製ケースを思い起させます。





表記が「Polizia Dept.(dipartimento)」というようにイタリア語になっていて、果たして輸出向けでは各国語になるのか、イタリア市場向けだけの製品なのか、今のところわかりません。
裏板に生産年次(月次)を示すシールはありません。

フランスのネットオークション上で、フランス版のポルシェ996と、このガレージをセットにした商品を発見しましたが、ポルシェ本体のカラー/ホイル/屋根灯ともに持っているものと同じなので確保しませんでした。
ガレージ上の「Polizia Dept.」が、果たしてフランス語になっているものかどうか、未確認です。



#294-A ボルボ XC90(イタリア国家警察)

次は、「ボルボ XC90」(品番・金型番号は「#294-A」)のイタリア国家警察仕様です。

タイ工場が洪水被害で生産停止している間に、中国の別工場で「ディッキー金型」を使って生産されたのは「ボルボ XC60」で、同じ「ボルボ」でもこの金型ではありません。

「XC90」はもともとマジョレット金型であり、裏板に生産年次(月次)を示すシールはありませんが、おそらくは生産復旧後のタイ工場によるものと推定しています。

ただしブリスターの形状が他のものとは違い、流通形態が違うのでしょうか。
実は、このモデルに関してはイタリア人出品者がふれたことは1度もなく、別のドイツ人コレクターから入手しています。もし、イタリアで流通していないとしたら、いったい何なのでしょう。

この「ボルボ XC90」は、フィンランド版で消防指令車になっています。





#257-C BMW M3 ポリス (カラビニエリ・イタリア国家憲兵)

前回(3月3日更新)でご紹介したモデルですが、「イタリア」緊急車ということで、この項に移動させました。


いつもはドクター・カー仕様になっている「BMW M3」をイタリア国家憲兵(カラビニエリ)仕様にしたもの。
裏板に出荷時期を表記したシールはありませんが、イタリア版の一連のモデルにもシールは貼られていないため、これもタイ工場復旧以降のものかもしれません。
   

  
  




 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ドイツ

#209 ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ドイツ警察)ホイル違い

ドイツ版の「ポルシェ996」、個装ブリスター版ですが、最近オーストリアから送られて来ました。
これまで入手していたものは5本スポークだったのに対して、これは10本スポークで、ホイル違いになっています。

裏板の生産年次(月次)シールがあり、「2012年9月」になっています。
タイ工場復旧後の出荷ですから、コレクター目当てにわざとホイル変更したというよりは、ホイル部品の調達の関係が変わった結果なのではないでしょうか。

私がドイツ版の個装ブリスターで持っていたのは屋根上灯が「赤」だったので、これは「青」のバリエーションになっている、というオマケ付きでした。(10本スポークの赤灯は確認されていないようです。)
  




#257-C BMW M3  ドクター・カー (ドイツ) ホイル違い

同じく、ドイツ版「BMW M3」ドクターカー、個装ブリスター版の、ホイル違い/屋根上灯赤、のバリエーションです。これまで持っていたのは、5本スポーク/青灯でした。
裏板の生産年次(月次)シールは、「2012年7月」になっています。

「トミカくじ消防指揮車コレクション」の中に、ドイツ語「Feuerwehr」のプリントのある「三菱トライトン」があり、トミカイベント・モデルのポルシェ911「Polizei」とともに、日本から送る交換品としては、面白いモデルになっています。
  










 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ブルガリア


前回「フランス」版の3台セットをアップして、これでもうしばらく新しいものを入手することはないだろう、と思っていたのですが、ドイツのオークション・サイトで別のものを探していたところ、全く思いがけずに「ブルガリア」版を発見。

これは、やはり買っておかないといけないのだろうなぁ、などと悠長に構えている間にポリスは売り切れてしまい、結局、消防と救急は同じ出品者から、ポリスは再捜索の結果、別の出品者から入手することになってしまいました。ともにブルガリアの人で、たいへん親切。1点だけの購入でも気持ち良く対応してくれ、荷物もすぐに届きました。

今回のブルガリア仕様の緊急車には、これまでご紹介して来た製品とは大きく違う点があります。
ポリス/消防/ドクターカーの3台アソートのギフトボックスに入っておらず、単品ブリスターになっていることがひとつですが、これはこれまでにもドイツ版/ポーランド版/ルーマニア版/フィンランド版などに前例がありました。

実はこれまでご紹介して来たモデルは、2011年10月にマジョレットのタイ工場が洪水被害に遭う前に出荷されたものと考えられるのですが、今回のブルガリア版は、2012年7月に工場設備が更新・復旧し、再開された後に出荷されたもののようなのです。

その証拠に、裏板に貼られているラベルが、2012年9月(ポリス)、2012年10月(消防/ドクターカー)、になっています。


ポーランド版/ドイツ版の単品ブリスターなど、このラベルが貼られていないために出荷時期が確認できないものもありますが、ディッキー金型を使って中国の協力工場で生産し、「マジョレット」ブランドのパッケージに入れて販売したイレギュラーな商品を除けば、これまでにご紹介した分は、洪水被害以前の出荷分と考えてほぼ間違いないようです。


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (プルガリア警察)

ポリスは、いつものポルシェ996の金型で、つまりこの996の金型は、洪水被害を生き残った、ということになります。

ドア横に書かれているキリル文字(ブルガリア語を表記するのに使われる文字)をアルファベットに置き換えると「politsiya」で、そのものズバリ、「police」の意味です。

ブルガリアでも、EU共通の緊急通報電話番号「112」が警察・消防・救急に共通で使われますが、警察専用の「166」という番号も使われるようです。交通事故専用の「165」という番号もあります。
  
  


トヨタ・ハイラックス 消防 (首都ソフィア地区消防)

消防は、これまで各国版で「ルノー・メガーヌU」が使われて来ましたが、今回のブルガリア版では「トヨタ・ハイラックス」(REF:292・1/57)になりました。
これまで消防指令車として使われて来た「ルノー・メガーヌU」の金型は、洪水被害で生産がむずかしい状態にあることも予想されます。

側面の表記をアルファベットに置き換えると「RSPBZN sofia」となりますが、「RSPBZN」は「rayonna sluzhba pozharna bezopasnost」の略で、つまり「Regional Office Fire Safety Sofiya」、「ソフィア地区消防局」といった意味になります。
ブルガリアの首都を、英語・ドイツ語ともに「Sofia」と書き、したがって日本語では「ソフィア」と言っていますが、ブルガリアでは綴り・発音ともに「ソフィヤ」のようです。

警察と同様にEU共通の通報番号「112」もありますが、消防専用の番号は「160」です。
  
  


BMW M3 ドクター・カー (ブルガリア)

ドクター・カーも定番化した「BMW M3」で、この金型も無事だったようです。

ボンネット上の表記は「linejka」で、「ambulance」の意味。
ボディ側面は「spesna meditsinska pomost」で、「emergency medical care」の意味です。

警察・消防と同様にEU共通の通報番号「112」もありますが、救急専用の番号は「150」です。
  


ハンガリー語/ルーマニア語/ポーランド語などはいずれもアルファベットを使いますが、ブルガリア語はキリル文字を使います。ロシア語と同じ文字ですが、発音は違うようです。

ミニカーの横に書かれたブルガリア語を見ると、解読してみたくなる、という悪いクセがあり、アルファベットへの置き換えと英対訳を表にすると、以下のようになります。
最近は、グーグル翻訳でいきなりキリル文字を入力(ペースト)しても、英訳をしてくれるようになりました。(残念ながら、ブルガリア語から直接の和訳はムリのようです。)
ただしミニカーの上にプリントされたものと同じ文字をネット上で探して、デジタルで並べなければなりませんが。






 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ドイツ

トヨタ・ハイラックス 消防 (ドイツ)

ブルガリア版と同じく、消防をトヨタ・ハイラックス金型に置き換えたもののドイツ版が、オーストリアから送られて来ました。

これも裏板に貼られたシールは「2012年7月」になっていて、タイ工場再開直後の時期になっています。
やはり「ルノー・メガーヌU」の金型は生産できない状態にあるのではないか、という気持ちを強く持ちます。

オーストリアから送られて来ていますが、彼はクルマでドイツ南部にしょっちゅう行っているので、必ずしも「ドイツ語版をオーストリアでも売っている」ということではなく、ドイツ国内で買ったものかもしれません。
同じドイツ語を使っていても、特にポリスカーのデザインはオーストリアやスイスでは違ってしまいますので。



   
  


2011年のニュールンベルク・トイ・フェアで発表された各国向け緊急車輌は、「38の異なる国と地域のカラーリング/マーキングが用意されるが、使用される金型は3種類に限定されている」ということでしたが、これまでにご紹介したのは、

フランス/ベルギー/ドイツ/イタリア/スウェーデン/ノルウェー/フィンランド/ポーランド/ルーマニア/
ハンガリー/ブルガリア

の11か国ということになります。(ただしイタリア版はポリスのみの入手。)

「38か国」というのは本当なのか、と思いますが、2011年2月にこの企画を発表して以降、おそらく38か国のバリエーションを展開し終える前に同年10月の洪水被害に遭って、展開は中断してしまったものと考えられます。

タイ工場再開で、さらに各国向けの展開が進み、生産量が増えて、より安価に入手できることを期待したいと思います。果たして日本版が作られて、カバヤ食品経由で日本で売られることはあるでしょうか。(2013/3/3)






 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──フランス


ベルギー版と同時に入手しながら、アップしないままになっていたマジョレット欧州各国向け・緊急車シリーズのフランス版をご紹介することにします。

2011年秋の洪水によって被災をしたマジョレットのタイ工場は、2012年7月に再開された、ということです。2012年8月13日付けのニュースリリースには「ズィンバ・ディッキー・グループ」の「世界における生産体制」が記載されており、この中に「タイ工場」も含まれています。

-The Simba Dickie Group has production sites throughout the entire world
From Europe to Asia - The Simba Dickie Group is an internationally active company with its own production sites. A brief overview:
Pathum Tahni Province: The popular Majorette cars have been manufactured in this Thai province north of Bangkok since 1987. Majorette has been a part of the Simba Dickie Group since 2010.
(13. August 2012 News Archive, Simba Dickie Group)


工場再開後のタイ工場からの出荷が証明される製品がないものかと思っているのですが、いまのところ発見できていません。ただし、ドイツなどでは、マジョレット製品がかなり安い価格で出て来ています。もともと「マジョレット」というのは、そんなに高い価格になるブランドではないのです。

ただし今回ご紹介する2つのセットも、タイ工場被災以前のものです。
亜鉛ダイキャスの成形機、プラスチック用の射出成型機のほぼ全て、その他全ての機械設備を交換する必要があり、再建のための総投資額は1000万ユーロに達し、470名の従業員全ての雇用は継続確保されているということです。

-Alle 470 dort eingesetzten Mitarbeiter behalten ihre Arbeitsplatze. Die Gesamtinvestitionssumme wird mit ca. 10,0 Mio. Euro veranschlagt.
(Geplante Investitionen und Masnahmen 2012, SIMBA DICKIE GROUP gibt Jahresergebnis bekannt
27.01.12 - 09:23)





まず、各国版と共通フォーマットになっている、ポリス/消防/ドクターカーの3台セットから見ていくことにします。

あらためて言うまでもなく、「マジョレット」はドイツ・フュルトゥに本拠を置く「ズィンバ・ディッキー」グループの傘下となったわけですが、いったんフランスの「スモビー・トイズ」(Smoby Toys S.A.S. Lavans-Les Saint-Claude)の傘下となった後にスモビーごとディッキーに買収された形になっており、現在でもマジョレット・ブランドの所在地はフランスのラヴァン・レ・サン・クロードになっています。ですから、いわばフランス・マーキングのセットは「本家版」ということになります。

その昔、マジョレット製品には「Made in France」のモールドがありましたが、現在ではマジョレット・ブランドの担当事業会社がフランスに所在しているだけで、もちろんフランス国内で生産されているわけではありません。被災以前のタイ工場から出荷された製品、というわけです。


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (フランス国家警察)

「ポリス・ナシヨナル」、フランス国家警察の新塗装。
各国版のポルシェ996と比較しても、スマートなマーキングに仕上がっています。

ドア開閉のアクション付き。
裏板に、「REF209.1」の製品(金型)番号と、1/57スケールの表示。

   


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (フランス)

側面に書かれている「sapeurs pompiers」(サプール・ポンピエ)は、「fire fighters」(消防士・消防兵)の意味です。
フランス国内での消防への緊急時の通報番号は「#18」、ただしこれは固定電話からの場合で、携帯電話からの場合は「#112」(欧州全域の緊急時共通番号)になります。ちなみに警察へは「#17」です。

ドア開閉のアクション付き。
裏板に、「REF221C」の製品(金型)番号と、1/58スケールの表示。
 


BMW M3  ドクター・カー (フランス) 

ボンネット上にプリントされている「SAMU」は、「ノレブ・エマージェンシー」のヘリコプターでご紹介したのと同じで、'Service d'Aide Medicale Urgente' (セルヴィス・デード・メディカル・ユルジャン)、「Emergency Medical Service」(EMS)の意味です。

救急医療サービス(SAMU)への緊急時の通報番号は「#15」、ただしこれは固定電話からの場合で、携帯電話からの場合は「#112」(欧州全域の緊急時共通番号)になります。

総合病院は24時間救急医療態勢で、夜間・週末も医師、薬剤師の急患対応があり、薬局(pharmacie)の看板のある所では当直医と当番薬局に関する情報の掲示があります。薬局の看板は緑の十字で、夜はネオン管などで電飾されているものも多く、パリ市街などを歩いていると結構目立ちます。パリの緑色のゴミ箱や清掃車、ラ・ポストの黄色のポストや郵便車などとともにフランスの「風物詩」のひとつかもしれません。

ドア開閉のアクション付き。
裏板に、「REF257C」の製品(金型)番号と、1/59スケールの表示。






次は、同じフランス版ですが、ポリス/消防/ドクターカーの3台セットではなく、ポリスだけの3台セットで、車種構成も異なります。

パッケージに付けられている「majorette」のロゴ(下の画像で左のもの)が、現在のもの(同右)とは異なります。ロゴ上下にクルマのアウトラインのない古いタイプです。

パッケージ裏面に、「ディッキー・シュピールツォイク」などズィンバ・ディッキーの各国拠点一覧をプリントしたラベルが上から貼付されていることから見て、箱そのものはディツキーに買収される以前のものかもしれません。





裏板にモールドされている「majorette」ロゴは、「ズィンバ・ディッキー」グループ参加以前から「j」の文字が上に飛び出した形のものになっており、少なくとも「ズィンバ・ディッキー」以前から継続使用されている金型については、現在でも変更はされていないようです。 (下の画像は、ルノー・メガーヌU フランス消防のもの。)






ルノー・メガーヌU ポリス (フランス国家警察)

各国向け緊急者3台セットでは、いつも「消防指令車」の役回りになっている「ルノー・メガーヌU」が、ここではフランス国家警察の旧塗装仕様になっています。

ドア開閉のアクション付き。
裏板に、「REF221C」の製品(金型)番号と、1/58スケールの表示。




同じ「ルノー・メガーヌU」ですが、左は「ズィンバ・ディッキー」による買収以前の製品と信じられるもので、やはり
「ズィンバ・ディッキー」グループへの参加以降、ホイルが変更されたようです(右のモデル)。

この3台セットも、おそらくは「スモビー・マジョレット」時代から売られており、ミニカーのホイルを替え、パッケージ裏に「ズィンバ・ディッキー」グループの事業所一覧のラベルを貼付したものと考えています。

ホイルの変更が、部品調達の都合などの不可抗力によるものか、意図的なものかはわかりませんが、徹底して替えられていることから見て、在庫管理上の識別のためなのではないでしょうか。

 


ルノー・セニックU ポリス (フランス国家警察)

「ルノー・セニックU」のフランス国家警察の旧塗装仕様で、既にご紹介している、インターナショナル向けの「ポリス5台セット」に入っていたのと同じもの。ホイルも同じものを付けます。

リアゲート開閉のアクション付き。
裏板に、「REF221D」の製品(金型)番号と、1/58スケールの表示。

 


プジョー307 ポリス (フランス国家警察)

「プジョー307」のフランス国家警察の旧塗装仕様で、これも、既にご紹介しているインターナショナル向けの「ポリス5台セット」に入っていたのと同じもの。ホイルも同じものを付けます。

ボンネット開閉のアクション付き。
裏板に、「REF205C」の製品(金型)番号と、1/58スケールの表示。


裏板にわざわざモールドされているスケールの表示を信じれば、概ね1/57〜1/58〜1/59ぐらいで統一されているようです。俗に言われる「1/64」というのは、フルサイズのアメリカ車などにとってのスケールで、小ぶりな欧州車を3インチ・サイズに縮尺すると、1/58程度になる、ということでしょうか。
 
(2013/1/14)







 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──スウェーデン


マジョレットの欧州各国向け・緊急車シリーズは、スウェーデン/ノルウェー向けの3台入りギフトボックスをそれぞれ入手しました。

求めて探していたわけではないのですが、ルーマニア/フィンランド/ポーランド版を譲ってくれていたドイツの警察官が、余分を確保して連絡をしてくれたのです。

ただし彼も、入手には相当に難儀をしたようでした。
このセットも、ナワナコンのマジョレット・タイ工場が洪水で被災する前に生産・出荷されたもののようです。入手難は、「スウェーデン/ノルウェー市場向け」であるという地域性が理由ではなく、そもそも継続的な生産が行われていないことによるものと考えられます。


パッケージは、裏面も含めて、ドイツ向け/フランス向けのものと全く同じです。
(同じ3台セット用の箱でも、タイ工場被災後の中国工場(ディッキー協力工場)から出荷されたものは仕様が異なります。)したがって、注意書きにはスウェーデン語/ノルウェー語は含まれません。

出所表示として、「Simba Dickie Nordic AS.」(ズィンバ・ディッキー・ノルウェー)の小さなラベルが箱の裏面に貼られています。住所はノルウェー国内になっており、スウェーデン版もこれは同じです。(つまり在スウェーデンのディッキーの事業所はない、ということになります。)




では、スウェーデン版から見て行くことにしましょう。

これまで、ハンガリー/ベルギー/ドイツ/など、3台セットのギフトパックは上からポリス/消防/ドクターカーの順でパッケージングされていましたが、今回スウェーデン/ノルウェー版では、ともにドクターカー/ポリス/消防の順になっていました。この2か国についてはオリジナルがこの状態なのか、誰かが途中で箱から出したために順番が入れ替わってしまったのかは不明です。






BMW M3  ドクター・カー (スウェーデン) 

車種構成は他の国に向けたものと全く同じで、ポリスがポルシェ996、消防指令車がルノー・メガーヌU、メディックがBMW M3です。

ボンネット上に書かれている「AKUTBIL」は、グーグル翻訳では、スウェーデン/ノルウェー/フィンランド/デンマーク語ともに訳してくれないのですが、「Ambulance emergency response vehicle」(ドイツ語ではNotarzteinsatzfahrzeug)の略称のようです。

スウェーデンのボルボV70のメディックの実車画像を見つけましたが、黄色いボディにグリーンのチェッカー・パターンの塗装で、マジョレットのモデルはこれをほぼ正確に再現しています。
ただし実車の屋根上灯は、このモデルのような赤ではなく、青灯を載せています。

ドイツ語との対訳「Notarzteinsatzfahrzeug」から判断して、機能はドクターカー(医師緊急派遣車)です。



ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (スウェーデン)

ミニカーのドアサイドにプリントされているエンブレムは、国家警察(Polisen)のもののようです。

フィンランド版のところで、フィンランドのポリスカーは国内のスウェーデン系住民のために車体右側の表記がフィンランド語の「POLISI」、車体左側がスウェーデン語の「POLIS」になっている、ということを書いたのですが、これがそのスウェーデン語の「POLIS」です。

ポリスカーの塗色は、白とライトブルーの2色使いに加えて、警戒色として黄色のチェッカー・パターンを使ったものが増えて来ているようです。ライトブルーと黄色はスウェーデンのナショナル・カラーなので、マジョレットのモデルのプリントはブルーが濃すぎるように思います。

さらに、スウェーデンのポリスカーは、メディック同様に青灯を使っています。マジョレットはスウェーデン向けのセットにも赤灯版と青灯版の意図的なバリエーションを作ったのでしょうか。   

   


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (スウェーデン)

ボンネット上にプリントされているスウェーデン語「BRANDCHEF」は、スバリ「FIRE CHIEF」の意味のようです。
「Fire Department」の意味だと「Brandkaren」になります。(「kar」はaの上に小さな丸の付く硬母音。)

スゥェーデンでは、警察・消防・救急ともに緊急時の電話番号は「112」番です。    

 



 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ノルウェー


続いて、ノルウェー版です。

タイ工場での洪水被害による生産停止に加え、既に生産された分は世界中のコレクターが物色しているということで、果たしてノルウェーの子供たちの手にどれほどの数が渡ったのか、心配になって来ました。

実車のマーキングをどの程度正確に再現しているかは別として、ノルウェーの緊急車のモデル(それも3インチ・サイズ・ダイキャスト)というのは、なかなか珍しいと言えるでしょうか。







BMW M3  ドクター・カー (ノルウェー) 

ノルウェー語「AMBULANSE」は、綴りだけちょっと違いますが「ambulance」の意味です。
機能としてはドクターカーですが、緊急時の電話番号として「113」がプリントされています。

実車画像では、患者搬送車でもこのモデルと同じ黄色基調にブルーグリーンのチェッカーを描いたものが見られます。その他、白/赤のツートーンの車両もあるようです。
ノルウェーの実車の屋根上灯はやはり赤ではなく、青を使っています。




ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ノルウェー) 

ノルウェー警察がポルシェを使っているかどうかは未確認ですが、少なくともポリスカーの塗装は白地に青と赤のストライプで、屋根上には青灯を載せています。

マジョレット・タイ工場では、青灯のパーツが足りなかったのでしょうか。

現在ノルウェーで観光向けの道路整備計画が進んでいるということで、2015年までに18本の ナショナル・ツーリスト・ルートが整備されるということです。そうなれば、ハイウェイ・ポリスもきっと増備が必要になることでしょう。

   


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ノルウェー) 

ボンネット上とドアサイドのノルウェー語「BRANNVESEN」は、「fire」の意味です。

スウェーデン/フィンランド/デンマークが緊急時の電話番号を警察・消防・救急ともに「112」番に統一しているのに対して、ノルウェーでは、警察「112」、消防「110」、救急「113」を使っているようです。

赤塗装の消防車両のほか、黄色基調のものも使われているようです。いずれも実車の屋根上灯は青です。

(2012/10/14)







 マジョレット (欧州各国向け・緊急車) ──ドイツ


ズィンバ・ディッキー以降のマジョレットの緊急車バリエーションは、ベルギー/ハンガリーをご紹介して後、ギフトパックでない単品のルーマニア/フィンランド/ポーランドなどまで遠回りをしていましたが、ようやくドイツまで戻って来ました。
ドイツでは、ベルギー/ハンガリーと同じ、3台入りギフトパックが出ています。また、個装のブリスターパックも並行して売られています。(2012/7/16)






ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ドイツ)

3台入りセットで定番の「ポルシェ996」。

インターナショナル市場向けの5台入りセットでは、英語(仏語)「POLICE」の表記で、ボンネット上には「星」のエンブレムを付けていましたが、ドイツ版ではもちろんボンネット上のマークはなく、表記もドイツ語の「POLIZEI」(ポリツァイ)になります。

Siku 製品と完全に被るアイテムですが、最近のSiku 製品のシルバー・メタリックは、メッキのような金属的な光沢のあるクローム・シルバーで塗装されるのが多いのに対して、マジョレットはキラキラと金属粉が光るような、「マイカ」「ラメ」調の処理が特徴的です。もちろん上からクリアコートされているような感じで、ザラザラはしていません。

Siku の牙城であるドイツ市場に、ポルシェ996ポリツァイで参入、というのは結構勇ましいですが、競争力のポイントは、やはり価格設定ということになるでしょうか。    
   


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ドイツ)

これも3台入りセットで定番の「ルノー・メガーヌU」消防。
赤塗装の側面に黄色い帯を入れ、ドイツ語「FEUERWEHR」(フォイエルヴェーア)の文字を赤で抜いています。

メガーヌの指令車はどうかわかりませんが、ルノー製の「マスター」などのバンやトラック車台は、ドイツ消防でも結構使われます。


   


BMW M3  ドクター・カー (ドイツ)

BMW M3 であれば、本来「AMBULANCE」よりも、ドクターカー「NOTARZT」の方がかえって自然というもので、メタリック・シルバーの車体に赤の帯を入れた「ノート・アールツト」の姿に戻りました。

ただし屋根上灯は、透明のサンルーフの横幅に制限されてしまっているため、妙に小さくなってしまいました。サンルーフからせり出して来る屋根灯ということで、「覆面ドクターカー」のようになりました。

メタリック・シルバーは、ポルシェと同じようにキラキラした処理です。

    


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ドイツ)

こちらは、3台入りギフトではなく、単品のブリスターです。

ところがギフト箱入りの3点は、屋根上灯が全て「青」なのに対して、単品ブリスターは「赤」灯になります。
(単品で青灯のものもあるかもしれません。)

赤灯・青灯のバリエーションまで追求していく気持はないのですが、値札に残っているように、2.99ユーロ(ドイツでは「オイロ」と発音されます)だったので、とりあえず買い求めました。

最近は日によって1ユーロが100円を少し切ってしまいますので、298円、という感じです。

ドイツ語マーキングのものについては、コレクターやオークション出品ではなく、テューリンゲンのエアフルトというところの「普通の」トイショップでしたので、こんな価格で入手可能でした。こんなクルマのオモチャを、日本人が買いに来ることを想定していないでしょう。
コレクター向けの専門店だと、保険だの、DHLだのと言って送料も割高になることがあるのですが、今回は送料もリーズナブルでした。300円のオモチャのクルマ数台に相応の送料、という健全な感覚がはたらいているのです。

これがいったんコレクターの手にわたって、「ドイツ版・赤灯3点セット」「青灯3点セット」などということになると、急に価格設定が高くなるのです。コレクターというのは、やはり欲張りな生き物なのでしょうか…。
   


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ドイツ)

ブリスター単品で、屋根上に赤灯を付けたもの。
これも2.99オイロ。

Siku 製品がいくらぐらいしているか、と見てみますと、新しい製品(ブリスター単品)で3.79〜3.99オイロぐらいしているようですね。
アマゾンで値引きされて、2.40 などというものもあります。
日本円の感覚で言うと、大体、新製品でマジョレット300円、Siku 400円、というところでしょうか。

   


BMW M3  ドクター・カー (ドイツ)

ブリスター単品で、屋根上に赤灯を付けたもの。
赤い屋根上灯は、クリアレッド成形ではなく、サンルーフの透明プラに不透明の赤塗料でペイントしたものです。

ここまでして赤くしたり、青くしたりする必要があるとは思えませんが、果たしてこれは、コレクターがバリエーションを求めることを期待して、ワザとやっていることなのでしょうか。

ちなみにドイツでは、警察・消防・救急ともに屋根上灯は「青」なので、ドイツ/オーストリア/スイスの子供たちにとっては青灯は違和感があるはずです。なので、他国版用に用意された赤灯のパーツを、わざわざドイツ語マーキングの車両たちに付けたことになります。

などとボヤキながら、こうやって青灯・赤灯のバリエーションを買っているのですから、何をか言わんやですが。


    


ボルボ XC90  ポリス・ワゴン (インターナショナル)

同じドイツの小売店のサイトに、ボルボ XC90 のポリス・ワゴンがルースで出ていたので、これも買い求めました。フィンランド版で、消防指令車になっていた車種です。

塗装はドイツふうですが、「POLIZEI」ではなくて「POLICE」になっており、ドイツ市場向け、ということではありません。ボンネット上にもインターナショナル版のポルシェと同じ、星のエンブレムを付けています。ルースで出ているということは、これも別のギフトセットの中に入っていたものでしょうか。

これも透明サンルーフの中に屋根上灯が付いているので、妙なバランスになりました。
金型のサンルーフを埋めて、屋根上灯のパーツを別に付けよう、などという気持ちはさらさら無いようで、いかにコストをかけずに、既存の金型を活用して各国で売れる商品をつくるかに努力を集中しているようです。

最近ではマッチボックスなど、やたらに暗いスモークの窓ガラスを付けたものが多いですが、このモデルは無色透明なので、室内が明るそうで良いです…。

    





左から、SikuのケイマンS、中央がマジョレットの996・ドイツ語マーキング、右が同じくマジョレットの996・インターナショナル・マーキング。

Siku は、何か次の手を打ってくるでしょうか。それともマジョレットは今後もいまひとつ、ドイツ語圏の市場には浸透しないでしょうか。

Siku は、おそらく品質を下げてまで低価格化の競争はしないと考えられるので、逆にマジョレットが、低い価格をキープしながら、アイデアや品質を問われることになりそうです。

オーストリアからのメールでは、Siku はこれまで以上に農業用トラクターや、それらのためのアクセサリー類をそろえた「ファーマー・シリーズ」(Siku Farmer)に力を入れて来ており、Siku の売り場のかなりの部分を、ファーマー・シリーズのプレゼンテーションが占めるようになっている、ということです。

Siku の2012年版カタログでは、1/120スケールの鉄道アイテムや、1/1400スケールの客船などのアイテムも登場して来ていて、他社には見られない独自性を打ち出そうと懸命です。



 マジョレット (欧州各国向け・緊急車)
         ─「ディッキー」金型を利用した、緊急車3点セット


実は直近(2012年7月)に到着した荷物で、大変に面白いセットが送られて来ました。
以前にこのページでご紹介している、「ディッキー(Dickie)」ブランドの緊急車3点セット(ドイツ語マーキング/車種はボルボXC60)を、ほぼ同じ内容のまま、「マジョレット」ブランドの赤箱・ギフトボックスに入れたものです。

「マジョレット」が同じ「ズィンバ・ディッキー・グループ」の傘下となって、「ディツキー」ブランドによる3インチ・サイズの商品と、「マジョレット」製品とは完全にグループ内競合になると考えられるため、「ディッキー」ブランドの今後に注目をしていたわけですが、いよいよ(マジョレット買収以前の)「デッキー」製金型のミニカーを、「マジョレット」ブランドで売る、という事態が現実のものとなったのです。

果たして、「ディッキー」ブランドの3インチモデルはこのまま消滅し、「マジョレット」ブランドに統合されてしまうのでしょうか。実はこれには「ある事情」があるのですが、それはさて置き、先にミニカーを見てみることにしましょう。





ボルボ XC60  ポリス・ワゴン (ドイツ)

左が「ディッキー」時代のもの、右が「マジョレット」ブランドの3台セットに入っているものです。

カラーおよびプリントや、屋根上灯などはほぼそのままのようで、ホイルだけが変更されています。
ただし「マジョレット」版の新ホイルは、まるでアルミシールを切り抜いて貼りつけたような妙な仕上がりで、このサイズのミニカーのホイルの「常識」からすると、かえって「後退」していると思えます。
    


ボルボ XC60  消防指令車 (ドイツ)

左が「ディッキー」、右が「マジョレット」。

これも、ホイルが変更されている以外は、ボディの仕上げは同じもののようです。
繰り返しになりますが、「マジョレット」の持っている金型が「ボルボXC90」であるのに対し、「ディッキー」の金型は「ボルボXC60」です。
    


ボルボ XC60  ドクターカー (ドイツ)

左が「ディッキー」、右が「マジョレット」。

これも、ホイル以外の仕上げは同一と思えます。
ボディはワゴンですが、あえて患者搬送車とせず、ドクターカー(ノート・アールツト)としています。

    





消防指令者の裏板を見てみると、「マジョレット」版(上)は、文字を含めたモールドは「ディッキー」(下)と全く同じですが、「マジョレット」のブランド・ロゴタイプを白で印刷しています。そしてその下に、敢えて「フュルトゥ/ジャーマニー」という、ズィンバ・ディッキー・グループ本社の所在地とアイテム・ナンバーを入れています。
「Werkstr.」 は、「Werkstrasse」(ヴェルク・シュトラーセ)の略で、ズィンバ・ディッキーの住所の一部(通りの名前)です。

双方に貼られているラベルは明らかに生産月次で、「ディッキー」が2010年9月、「マジョレット」が2012年3月となります。そして重要なことは、この2点とも、「CHINA」のモールドがある点です。





この間ご紹介して来ている、これら各国版の緊急車シリーズは、実は裏板には「CHINA」「THAILAND」などのモールドは全くなく、赤いギフトボックスの裏面に、「マジョレット・タイランド」の印刷が入れられています(下の画像の左)。
そして、今回のディッキー版セットの箱は、デザインは非常に良く似ていますが、裏面には「マジョレット・タイランド」の印刷がありません(下の画像の右)。ディッキー金型を利用したこれらのセットは、マジョレット・タイランドの工場で生産されたものではなく、ディッキー時代と同じ中国で生産されているのです。識別のために交換されたと思われる新ホイルの仕上げは、この中国工場、またはその協力工場の「力量」に起因していることになります。





実は、タイのナワナコン工業団地にある、マジョレット・タイランドの工場は、日本でもホンダ/トヨタをはじめとする多くの日本企業の被災として報道された昨年の洪水で、壊滅的な被害を受けていたのです。

タイ北部・中部を襲っていた大洪水は、2011年10月17日、首都バンコクのすぐ北側にあり、タイ最大規模の工業団地である「ナワナコン工業団地」(パトゥムタニー県クロンルアン)の防水堤防の一部を決壊させ、工業団地内に浸入しました。これにより、タイ政府は団地内の工場に対して、操業停止と従業員の避難を命じる事態となったのです。

機械設備は、いったん水に浸かると当分動かせなくなり、また機械は無事でも部品の調達難などで操業停止に追い込まる工場も多かったのです。しかしマジョレットの工場の場合は、ダイキャスト成形機械の全て、そしてプラスチック射出成型機のほぼ全てが壊滅しました。そして機械の全面的な交換が必要であるため、生産の再開は2012年の中頃、設備の交換に要する投資額は1000万ユーロ(10,0 Mio. Euro/約10億円)、470人の従業員の雇用は継続されるということです。

この内容はズィンバ・ディッキー・グループの、「2012年の投資計画」に関するリリース(ドイツ語版・2012年1月27日・ニュルンベルク・トイ・フェア直前のニュースリリース)で発表されています。(下記リンクの、一番下の項目の中に書かれています。)
http://www.spielwarenmesse.de/news/einzelansicht/news/8444/?tx_ttnews%5BbackPid%5D=4220&cHash=268ff6eea85be0b34eb33c49a10ee0b3

オーストリアからのメールでは、「マジョレット」からは魅力的な新製品のリリースが行われているにもかかわらず、2012年7月現在で、まだ市場には出て来ていないそうで、これもタイ工場の生産停止の影響を受けているものと考えられるそうです。「ディッキー」金型を使った「マジョレット」製品は、タイ工場で生産ができない分の「穴」を、中国生産などで少しでも埋めようとするいわば「苦肉の策」のようです。

『マッチボックスがスーパー・ファストへの転換期に、レギュラー・ホイル時代の金型をそのまま流用されたように、ディッキー金型の利用も、いわば過渡的・短期的なものだろう』というのが、オーストリアからのコメントでした。

マジョレットの各国向け緊急車のシリーズは、国際的な流通量が明らかに少ないと感じていたのですが、それは市場政策的なものではなく、洪水による生産ラインのストップという、全く予期せぬ事態に原因があったようです。
日本で流通している「カバヤ」との提携商品についても、生産停止の影響を受けているものと思われます。

既に生産再開の予定とされる「2012年中頃」になっており、タイ工場の再開と、それによるマジョレット製品の今後の出荷拡大を期待したいものです。(2012/7/16)








 マジョレット (欧州各国向け・緊急車)
         ──ルーマニア/フィンランド/ポーランド


この項で、次はドイツ版/フランス版を取り上げる予定だったのですが、ルーマニア/フィンランド/ポーランドのものが手に入りましたので、これらを先にご紹介することにします。

ルーマニア版とポーランド版の入手先はドイツの警察官(小スケール・ポリスカーのコレクター)、フィンランド版の入手先はフィンランドのポリスカーコレクターで、どちらもこれまでに交換や購入をしたことのある人でした。

こちらから彼らにコンタクトしたわけではなく、ドイツのオークション・サイトで検索をしていたところ、結果的に出品者が彼らだった、という事情です。世間の狭さを実感しますが、この種のバリエーションを探しているモノ好きは、それほどたくさんいない、ということにもなるでしょうか。

ハンガリー版/ベルギー版では、3台入りの「緊急車ギフトセット」になっていたのが特徴でしたが、今回ご紹介するルーマニア/フィンランド/ポーランドは、ギフトボックスではなく、1台ずつの個装ブリスターになっています。
(ただしこれらの国でも、3台入りセットが売られている可能性は否定はできません。)  (2012/5/1)
 
 
ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ルーマニア)

マジョレットの各国版緊急車シリーズのうち、ポリス仕様として定番の「ポルシェ996」ですが、ルーマニア警察は実際に「ポルシェ911」を使っているようです。

ルーマニア警察は、なんとロータスカーズのミッドシップ2+2スポーツカー、「エヴォーラ」の上級グレード、「エヴォーラS」をポリスカーとして導入しているそうで、ネット上で画像も見出すことができます。
実車のハイウェイ・ポリスカーのマーキングも、ほぼこのモデルに近いものです。

ルーマニアでは道路インフラ 整備が進んでおり、周辺国と国内の主要都市を結ぶ幹線道路(欧州自動車道路)の整備はほぼ完了し、高速道路の新規開通区間が徐々に増加しているということです。  
こうした状況下では、ハイウェイ・ポリスカーの必要性が高いのでしょう。 
    
   


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ルーマニア)

他国版と同じく、「ルノー・メガーヌU」を消防司令車仕様にしたもの。
ドア側面にルーマニア国旗を付けていますが、これを付けている実車の画像は確認できないので、もしかするとコレクター向けのサービスかもしれないですね。

(ポリスカーは、実車でもボンネット上に国旗を、側面にナショナルカラー3色のストライプを付けています。  
  
   


BMW M3  ドクター・カー (ルーマニア)

「ルーマニア」(ルーマニア語での発音は「ロムニア」)は、もともと「ローマ人の国」という意味で、ラテン語の東部地域での方言が元になっているので、「POLITIA」「POMPIERI」「AMBULANTA」3つともに、他の欧州言語から意味を類推できる表記になっています。

実車画像を見る限り、ルーマニアの救急車には白基調の救助系のものと、赤基調の消防隊系のものの、両方のアンビュランスがあるようで、民間の救急車の中にはドクターが乗り込む「ドクターカー」仕立てのものもあるようです。 ただし、BMW M3の「AMBULANTA」には少々ムリがあるかもしれません。
   
    



ルーマニア版のブリスターカードの裏面。
出所表示などをルーマニア語で表記したシールが貼られています。

輸入者は「ズィンバ・トイズ・ルーマニアSC」(SC SIMBA TOYS ROMANIA )、ブカレストと、もう1箇所ルーマニア北部の「バイアマーレ」の住所。製造者「ズィンバ・トイズ」、タイ製。

前半の警告文は、「小さな部品を含むため、3歳以下の乳幼児の使用には適しません」云々。
カードにはこれらの警告文がルーマニア語では印刷はされていないため、シールで加えられたものでしょう。

最近は「Google翻訳」の機能が充実しているため、ルーマニ語/フィンランド語/スウェーデン語などでも、大意はつかめるようになりました。
   



BMW M3  ポリス (フィンランド)

ここからは、フィンランド版になります。

フィンランド向け製品で入手したものについては、個装のブリスターに入れられているだけでなく、他の欧州各国向け製品とは車種選択が異なっていて、他ではドクターカーに仕立てられていた「BMW M3」が、フィンランド向けでは「ポリス」カラーになっています。

「Siku」の項でこれまでにも書いておりますように、フィンランドのポリスカーは車体右側の表記がフィンランド語の「POLISI」、車体左側がスウェーデン語の「POLIS」になっています。6%ぐらいと少数ですが、スウェーデン語を話す住民がフィンランド国内にいて、両言語が公用語になっているためです。

少々もったいなくて、ブリスターを破けずにいますが、上から覗いてみると、このモデルも反対側は「POLIS」になっているようです。白とダークブルーは、ポリス・カラーというよりは、フィンランドのナショナルカラー(国旗に使われている2色)です。

Sikuはスウェーデン版のポリスも作っているので、マジョレットにもスウェーデン版が存在しているかもしれません。
  
   


ボルボ XC90  消防司令車 (フィンランド)

消防司令車も各国向けで常用されている「ルノー・メガーヌU」ではなく、フィンランド向け製品では「ボルボ XC90」を使っています。

同じグループ系列に属する「ディッキー」のボルボ XC60の項で、「マジョレットが作っているのはXC60ではなくXC90」ということを書いたのですが、その「XC90」です。やはりディッキーのXC60は、マジョレットとは関係ない、ディッキー・オリジナル金型ということになるでしょう。

側面に白のバンドを入れたシンプルな塗装で、フィンランド語の表記など何もないところが、かえって実在の塗装を再現しているのではないか、と思わせます。
  
   


フォード・エコノライン  救急車 (フィンランド)

他国向けの「救急」仕様はBMW M3 のドクターカーでしたが、フィンランド向けでは「フォード・エコノライン」のバン型救急車になっています。
この金型、「ズィンバ・ディッキー」化以前から、救急車や消防車、日本向けの警察バンなどに何度も仕立てられていますが、今回の各国向け緊急車シリーズで見るのは初めてです。フィンランド向け製品がかなり「特別」な扱いをされていることがわかります。

消防隊モチーフのものと、医療モチーフのもの(ザ・スター・オブ・ライフ)を重ねたエンブレムを付けており、消防隊系の救急車の設定のようです。

フィンランドの救急車の実写画像をいくつか探しましたが、黄色基調のものが多く使われているものの、類似したデザインのものは確認できませんでした。ただ実車でも、「AMBULANCE」の表記は英語つづりを使っているようです。

ちなみにフィンランド国内での緊急時の電話番号は「112」で、どんな電話からでも直接「112」を押すだけでつながり、英語も通じるということです。
フィンランド語で「救急車を呼んでください!」は、「SOITA AMBULANSSI!」(ソイタ アンブランッシ!)
  
   



フィンランド版のブリスターカードの裏面。
ゲルマン語系の特徴で、たくさんウムラウト(変母音)していますが、左がスウェーデン語、右がフィンランド語です。

ルーマニア版と違って、流通の代理店などの情報はなく、「3歳以下の乳幼児には適しません」 「様々な事態に対応するため、これらの指示を守ってください。」 「カラーや仕様は変更することがあります…」 云々。

裏面に印刷されている注意書きには、フィンランド語/スウェーデン語の表記が無いので、フィンランド国内での法規制への対応のために添付したものでしょう。フィンランド語/スウェーデン語の両方が公用語なので、両言語での表記義務があるものと考えられます。
  
   


フォード・モンデオ  ポリス (フィンランド)

これは、最近の「ズィンバ・ディッキー」化以降のものではなく、買収される前のマジョレットのものです。
フィンランド向け製品で、車種はフォード・モンデオ。パッケージのデザインが最近のものとは全く違っていることに気がつかれるでしょう。

フィンランド市場には、「ズィンバ・ディッキー」化以前から、特別なモデルを供給していたことになり、今回の製品で他国とは車種・仕様を変えて来ているのは、このあたりとも関係があるのかもしれません。

今回の「ズィンバ・ディッキー・マジョレット」の3点に加え、「モンデオのポリスもあるけれど必要か?」と言って来たので、「ずいぶん以前に、あなた本人から入手して持っていますよ。」と返事した次第。
 
  


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ポーランド)

ここからはポーランド版です。
入手したのはポーランドの人ではなくてドイツの警察官で、したがって「消防」「救急」に対する収集モチベーションが高くないようで、手に入れたのはポルシェのポリスカーのみです。

ドイツ版と非常に良く似ているのですが、ボンネットの塗り分け方が異なっており、マーキングがポーランド語の「POLICJA」になります。

Siku もポーランド警察仕様を作っています。ポーランド警察の実車の塗装も、銀/青のドイツ警察と良く似たものです。実車の屋根上灯は基本が青で、部分的に(ひとつだけ)赤灯が組み込まれているように見えます。
   
      


ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ポーランド)

同じポーランド版のポルシェ996で、屋根上灯が赤のもの。

実は、マジョレットのドイツ版にも、屋根上灯が青のものと、赤のものとがあります。
各国版を生産する過程で、パーツのヤリクリ上で発生してしまったバリエーションが、それともコレクター向けにワザとやっていることか…。
ワザとやっているとしたら、結構「罪ツクリ」な話しではあります。

たまたま同じ出品者が「赤灯」「青灯」の両方を持っていたので買いましたが、ここまでのバリエーション追求はやる気はありません。
    
   



ポーランド版のブリスターカードの裏面。

「3歳以下の乳幼児には適しません」云々の警告文と、ワルシャワの「ズィンバ・トイズ・ポーランド」(Simba Toys Polska zo.o.,ul.)の住所。

ルーマニア版やフィンランド版と違って、もともとの印刷面に、目立たないように上手くシール貼りされています。
   
   









 マジョレット (欧州各国向け・緊急車ギフトセット)
         ──ハンガリー/ベルギー


ズィンバ・ディッキー・グループに入ってからのマジョレットは、ポリス/消防司令車/救急(ドクターカー)の緊急車3台セットを作っており、欧州各国向けの塗装で新しい展開を始めました。

今のところ、3点セットとして確認しているのは、フランス/ドイツ/ベルギー/ハンガリーで、これらに関しては車種は全て同じ、ポリスがポルシェ996、消防がルノー・メガーヌU、ドクターカーがBMW・M3です。

これ以外にも、3点セットではない単品ブリスターで、フィンランド/ルーマニア/ポーランドが確認済みです。
フィンランド版は、マーキングだけでなく車種も異なります。

今回はひとまず、ハンガリー版と、ベルギー版の3台セットをご紹介したいと思います。



まずは「ハンガリー」版。

マジョレットはフランス市場を中心としながらも、成長が継続せずに「ズィンバ・ディッキー・グループ」入りとなった、という事情があります。
「Encyclopedia of Small-Scale Diecast Motor Vehicle Manufactures」(Kimmo Sahakangas, Dave Weber & Mark Foster, Iconografix 2006)によれば、マジョレットは既に1980年代末に破産に直面しており(faced bankruptcy)、フランスの玩具コングロマリットである「Ideal Loisirs」が買収。ついで1992年には香港の「Playmates Interactive Entertainment LTD」が「会社うちのの大きな部分」を買収したとの記述があります(p65)。 
1980年に破綻したソリドを買収した後にマジョレット自らも経営破綻したことになり、2003年にスモビーと提携するはるか以前のことです。ここのところの経緯は、現在のズィンバ・ディッキー傘下の「マジョレット」の「沿革」による記述では経緯が少し省略されているようで、「債務超過を強いられたために1993年に「Ideal Loisirs」によって買収。「Ideal Loisirs」は1996年に「Triumph-Adler」によって取得された」となっています。) 

いずれにせよ、私たちがカバヤ提携品を見慣れている間に、マジョレットにとってのフランス国内市場のポテンシャルは、経営権を取得した企業が次々に手離していくほどに下がっていた、とみることできるでしょう。

ということは、フランス国内はもとより、ドイツなど周辺の既存市場での再成長を急激に期待するのは、なかなかむずかしいと考えなければなりません。マッチボックスやSikuとの熾烈な競争の想定される地域よりも、他社シェアの確立されていないニッチ(すきま)市場への進出を考えるであろうことは、ある程度予想できることです。その意味では、旧東欧圏の重視は当然と言える戦略でしょうか。

「緊急車3点セット」は、現在確認している限りでは、各国とも共通の箱に入れられているようで、箱裏にはフランス・ラヴァン・レ・サン・クロードの「スモビー・トイズ」を筆頭に各国現地法人の社名と所在地の表記があり、ハンガリーは「Simba Toys Hungaria Kft.」になっています。つまり、東欧進出にあたっては、旧マジョレット〜スモビーのネットワークではなく、ズィンバの持っている販路を活用しようとしていることがうかがえます。

ズィンバ・ディッキー・グループのCEO(最高経営責任者)であるミヒャエル・ズィーバーは、マジョレットの強みとして、「フランスの製造ノウハウ」「タイの生産設備」「フランス/スペイン/南米での強力なシェア」を挙げていますが(2010年6月21日・マジョレット取得時のニュースリリース)、これらの資源にズィンバ・ディッキーの海外戦略や販路を組み合わせようとしているのでしょう。

この2010年6月の経営統合時のニュースリリースでは、2011年2月のニュルンベルク・トイ・フェア(シュピール・ヴーァーレン・メッセ)で、マジョレットとズィンバ・ディッキーの共同開発による商品の発表が予告されたのですが、2011年のトイ・フェア発表商品の中には、これらの各国向け緊急車輌の企画も含まれていました。
「38もの異なる国と地域のカラーリング/マーキングが用意されるが、使用される金型は3種類に限定されている」という、会場来場者のレポートを見出すことができました。このシリーズは、2012年のニュルンベルク・トイ・フェアでも、引き続き出展されていたようです。果たして本当に「38の地域向け」のカラーリングが実在するのでしょうか。

欧州各国の小スケール緊急車コレクターにとっては、ちょっとしたブーム(パニック)を引き起こしているようで、フィンランド版を譲ってくれたフィンランドのコレクターは、「あなたはハンガリー版はもう持っているようだが、自分は来週、ハンガリー版を手に入れるんだ。」と言っていました。ドイツ版やポーランド版では、屋根上灯に「青」のものと「赤」のものがあるそうで、いっそう混乱を助長しています…。
   

ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ハンガリー)

ポルシェ996のハイウェイ・ポリスで、既にご紹介した「ポリス5点セット」に入っていたのと同じ車種ですが、白基調になったために、随分と印象が変わっています。

ハンガリーのポリスカー、それもポルシェということで、それだけでもなかなか稀少と言えるでしょうか。
マーキングにある「rendorseg 」はハンガリー語で、そのものスバリ「police」。「レンドゥールシェーグ」と発音するようです。「O」の上には点が2つ載っていますが、これは母音長音で、ドイツ語のオー・ウムラウトと同じ「点」のものと、点がナナメになったものの2種があり、これはナナメになった方です。(つまり「ウー」になるらしい…。)

「Hivja a rendorseget!」(警察を呼んで下さい/ヒーヴィヤ・ア・レンドゥールシェーゲット)という「緊急時用会話集」の中に載っていました。どうして語尾変化して「t」が付いているのか、わからないですが。

ドア前に書かれている緊急通報番号は「112」になっていますが、これはEU共通番号です。
本来、ハンガリーでの警察への緊急通報番号は「107」ですが、EU加盟後に「112」番が並存する形で導入されました。交通人身事故などの場合、112に通報すれば、警察と救急を一度に要請できるということです。
   
    


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ハンガリー)

ルノー・メガーヌUの消防司令車。
ズィンバ・ディッキー・グループ入り以前は、白のフレンチ・ポリスがありましたが、塗色とホイルが変わって、これも随分印象が変化しました。アミ目のホイルは、マッチボックスにも、ホットホィールにも無いようなタイプで、ちょっと新鮮です。

「tuzoltosag」は、これもズバリ「fire brigade」(消防隊)。
緊急通報番号は「105」番になっており、これはEU共通番号ではなく、ハンガリー消防固有のものです。
  
  


BMW M3  ドクター・カー (ハンガリー)

魅力的なBMW・M3のドクターカーで、これだけでも「欲しい」と思われる方がいらっしゃるでしょう。
マーキングは「orszagos mentoszolgarat」 で、「国家救急サービス」(national rescue service) の意味です。
「救急車」が「mentot」(メントゥート/「o」は長音)で、「szolgaltatas」が「service」の意味。

「国家救急サービス」ということは、民間の救急・患者搬送サービスではない、ということです。
   
   



次は、ベルギー版です。

箱は、ハンガリー版と全く同じで、箱裏右下に貼ってあるバーコード・シールの数字下3桁だけが異なります。
撮影の都合上、ペルギー版の隣りに移っているのは、ハンガリー版の箱の裏面、ハンガリー版の隣りに移っているのは、ベルギー版の箱の裏面です。

ベルギーから入手しましたが、出品者はベルギー/フランス国境に住んでいるということで、フランス版も入手できました。フランス版は、ドイツ版と一緒に、今度ご紹介したいと思います。





ポルシェ996  ハイウェイ・ポリス (ベルギー)

車種の組み合わせはハンガリー版と全く共通で、ポリスカーはポルシェ996です。
最近のベルギー・ポリスの小スケール・モデルというのは、Sikuなどでも記憶になく、白基調のボディに蛍光オレンジーの警戒色の塗色が新鮮に映ります。かつて、トミカでポルシェ911のベルギー仕様がありました。

緊急通報番号は「101」になっていますが、これはベルギー警察固有のもので、EU共通番号の「112」も使用されています。マーキングは「Police」ですが、これは英語ではなく、フランス語綴りです。  
  
  


ルノー・メガーヌU 消防司令車 (ベルギー)
  
ルノー・メガーヌUの消防司令車。
ブルーで入れられた斜線のストライプは、オランダのものと良く似ています。

オランダ版は作られていないのか? と聞いたのですが、それについては返事がありませんでした。
フランス〜ベルギー国境に住んでいる、ということですから、きっとフランドル〜オランダ方面のことはわからないのでしょう。
  


BMW M3  ドクター・カー (ベルギー)

BMW・M3のドクターカー。これも「ambulance」は英語ではなく、フランス語綴りです。
ただし、ベルギーは全体がフランス語を話すわけではなく、フランス語40%、オランダ語60%ぐらいなので、地域によってはオランダ語表記の緊急車があるかもわかりません。

プリントされている緊急通報番号は「100」になっており、ベルギーの消防・救急の固有番号です。
消防・救急とも、EU共通番号の「112」が使用できます。
  





ルノー・メガーヌUの、ベルギー消防/ハンガリー消防/フランス警察を並べました。
消防司令車2台は「ズィンバ・ディッキー」以降のもの、白のフランス警察は「ズィンバ・ディッキー」以前のものです。やっぱり、旧マジョレットは、ホイルが良くなかったですね。

ボディ塗装やプリントの技術などは、旧マジョレットでも品質に問題はありませんでしたから、カラーリングやホイルのデザインなどに、「ズィンバ・ディッキー」から思い切ったディレクションがされている、ということでしょうか。

各国の言語をプリントしたローカライズ、カラフルなボテイ色、ほぼ同等のクォリティを「Sikuよりもお安く」という路線で、どこまで各国市場でのセールスを伸ばせるか、興味深いところです。

しかし、この「各国版緊急車」の術中に「まんま」とはまったのは、ヨーロッパ各国の子供たちではなくて、世界各地のコレクターだけなのではないか、という気がしないでもありません…。
(2012/3/17)
   







 ディッキー

前回は、フランスの小スケール・モデルの代表的ブランド「マジョレット」が、ドイツのズィンバ・ディッキー・グループの傘下となったことを書いたのですが、今回はそもそもの「ズィンバ・ディッキー・グループ」について、もう少し
ふれてみたいと思います。

ズィンバ・ディッキー・グループの歴史は、1982年にフリッツ・ズィーバー(Fritz Sieber)が、ズィンバ・トイ(Simba Toys company)を創業したことに始まります。創業時のメンバーは、フリッツの息子のミヒァエルと、5人の従業員だけでした。それが、次々とトイ・ブランドを糾合しながら成長し、現在では従業員3700名、ドイツのフュルトゥを本社とし、フランスのラバン、そして香港に事業所を置く、世界最大級の玩具メーカーとなりました。

「ディッキー」(Dickie Toys)ブランドは、ズィンバ創業から11年経った1993年に獲得したブランドであり、経営統合によって獲得した初の社外ブランドでもありました。したがって他に多くのブランドを傘下に加えた現在でも、「ズィンバ・ディッキー」というようにグループ名に「ディッキー」の名が残されているのです。






「ディッキー」の現在の商品ラインは、RCカー、建設車、緊急車・建設車などのアクション・トイで、クルマを主体とした「乗り物」玩具に特化したブランドになっています。「全ての年代向けのクルマの玩具の製造・販売」(Dickie Spielzeug (1993 erworben): Produktion und Vertrieb von Fahrzeugen aller Art)というのがブランド定義のようです。「ディッキー」は、カバのブランド・シンボルマークを使っています。「Dickie」というのは、独・英ともにそのものズバリの語が無いようなので、個人名かと推測していますが、ドイツ語の「Dicke」(ディッケ・太った人)を連想することが、このマークと関係があるのかもしれません。

ズィンバ・ディッキー・グループのサイト上には、「ディッキー」の歴史はもはや記されてはいないのでその出自は良くわからないのですが、おそらく1993年の経営統合以前から、「クルマのオモチャ」を特徴としたブランドだったと想像されます。その意味では、ズィンバにとってのディッキーの取得は、その後の「シュコー」「マジョレット」などのモデルカー・ブランド取得のさきがけとなった出来事だったとも言えるでしょう。

同じグループ内でも、「シュコー」は、コレクター向けを基本とした「スケール・モデルカー」というジャンルを確立していますから、「ディッキー」が扱うのは、同じクルマのオモチャでも走りや動きを楽しむことのできる「トイ・カー」という棲み分けになっています。
一方で「ズィンバ」ブランドの方は、女の子向け玩具、乳幼児向け玩具、知育玩具といった内容になっています。


今回ご紹介するのは、「スピード・チャンプス」というシリーズ名を与えられた、1/64・3インチサイズのダイキャストカーで、以前に一度「海外コレクター便り」でご紹介したのと同じものです。「ズィンバ・ディッキー」にとっては、シュコーのラインよりはスケール性が低く、アクション・トイというカテゴリーからははずれるという、丁度「ディッキー」のアクション玩具と「シュコー・ジュニアライン」の中間のような性格の商品です。

そして同じグループ傘下にある「マジョレット」と完全に重複する分野になってしまっていて、「マジョレット」ブランドの取得後は、こうしたダイキャスト・カーを「ディッキー」ブランドで販売する意味がなくなってしまっているようにも見えます。もし、意味があるとすれば、ドイツの子供たちや両親たちにとっては「ディッキー」の名前に、より親しみがあるという場合でしょうか。

ちなみに、「ズィンバ・ディッキー」は、「マジョレット」とともに「ソリド」も取得していますが、ズィンバのサイト上には現在「ソリド」のブランド・ページは存在していません。


ボルボXC60 (ドイツ警察)

3台入りのギフトセットは、全てボルボのXC60で、ドイツ仕様のポリツァイ/消防/ドクターカーになっています。
3台パックという製品形態が最近のマジョレットと非常に良く似ています。

ただし、パッケージの出所表示は、ドイツ・フュルトゥの「DICKIE SPIELZEUG GmbH & Co. KG」になっており、マジョレットの製造主体である「Smoby Toys S.A.S.」(フランス/ラヴァン・レ・サン・クロード)とは、同じグループ傘下とは言え、基本的には別会社であることがわかります。

まずはポリスですが、マジョレットのセットにあった国籍不明の「ポルシェ996」とは違って、青灯を載せ、「ポリツァイ」と書いた、ドイツ警察純正の仕様になっています。やはり、とりあえずはドイツ国内市場を意識したものでしょうか。(もちろん中国製です。)


ボルボXC60 (ドイツ消防)

2台目は消防司令車で、これも「フォイエルヴェーア」と書き、通報電話番号(ノートルーフ)は「112」になっているドイツ版。

マジョレットも「ボルボXC60」のモデルを作っていますが、こちらは1/43サイズで、マジョレットが3インチ・サイズで作っているのは「XC90」のようです。ディッキーのボルボがオリジナル企画か、どこかの金型を転用したものかは確認できていません。マジョレットはタイのマジョレット・タイランド製、これらのディッキーは中国製ですから、少なくとも同一の協力工場から出荷されている、といったことはないはずです。


ボルボXC60 (ドイツ・ドクターカー)

3台目は黄色のドクターカーで、「ノートアールツト」とプリントしたドイツ語版。
ただしこれなら、オーストリア/スイスでも通用しそうです。

とは言え、「スピード・チャンプス」というシリーズのネーミングが、何かとってもドイツ的でないのですね。
こういうネーミングをするということは、やはり海外市場を意識した商品なのでしょうか。アメリカ市場ではなくて、旧東欧圏の子供たち向け、という感じかもしれません。

「スピード・チャンプス」のシリーズは、他にもヘリコプターの入った「ポリス・セット」などが出ているようです。また「ディッキー・ダイキャスト」というシリーズで、トレーラー・トラック、1/18スケールの2輪モデルなども作られています。やはりコレクターズ・アイテムではなく、少し年齢の低い層を含めた、「どんどん遊んでもらいたい」トイ・カーということになるでしょうか。


ボルボXC60 (イタリア国家憲兵・カラビニエリ)

イタリアの国家憲兵(カラビニエリ)仕様で、オーストリア人コレクターがクルマでイタリア側に越境した際に見つけて買って来てくれたもの。高価なものでなくても、こういうものは手に入りにくいので嬉しいです。

金型は同じボルボXC60ですが、窓ガラスパーツは不透明黒になっていることをいぷかしんでいたところ、裏板に電池スペースがあり、ボタンを押すと屋根上の青灯が点滅することがわかりました。

壊れてはいないはずですが、サウンド機能は持っておらず、ライト点滅だけのようです。クルマのアクション・トイを得意分野として来た「ディッキー」が作る商品としては、むしろ本領発揮というところでしょうか。
ボルボ・ロゴタイプの使用許諾権を示すタグが結び付けられていました。こういう手法はあまり見たことがないので、新鮮にうつります。

ちなみに下は、左が電池ボックスの無い通常版、右が電池ボックスのある点滅版の裏板比較です。
貼ってあるシールはたぶん「2010年9月期」「2009年9月期」で、生産年次を示すものと推測しています。





前回の「Siku」(左)、「マジョレット」(中央)比較に、「ディッキー」(右)参入。
「マジョレット」と「ディッキー」は、「ズィンバ・ディッキー・グループ」連合軍であり、「Siku」はこの両方を相手として戦わなければならないわけです。オーストリアでは、この3ブランドとも購入可能だということです。

ただし、「マジョレット」と「ディッキー」は、同じグループ内での競合関係になってしまうこともあり得るわけで、ドイツ圏とフランス圏で地域を棲み分けながら「ディッキー」と「マジョレット」がともに存続していくか、「マジョレット」に一本化されていくか、興味のあるところです。



ちなみに、マジョレットの創業者であるエミール・ヴェロンと、ノレブの創業者であるジョセフ・ヴェロンは実の兄弟で、「Norev」は「Veron」の綴りを逆にしたものです。
ノレブのサイトには、「1946年にヴェロン兄弟(複数形)によって創業」(1946 NOREV TOYS was created by the VERON brothers, the name being an anagram of their surname) と書かれていますので、エミールもノレブ創業には加わっていた可能性もあります。困難になったマジョレットの経営を助けたのは、結局創業者が兄弟関係にある「ノレブ」ではなくて、ドイツの「ズィンバ・ディッキー」だったということになり、このあたりの背景はどういうことだったのでしょうね。

ノレブは、書店売りの雑誌付きミニカーや、CIJ/スポットオンなどの復刻ミニカーを出し、「マジョレット」ではなくてむしろ「シュコー」(ズィンバ・ディッキー・グループ)と競合するブランドになっていることは、ご存知の通りです。
(2012/2/19)





 マジョレット


日本でも著名なブランドである「マジョレット」は、1961年にエミール・ヴェロンが鉄道模型の会社である「レイル・ルート」社として創業。1964年に初の自動車モデルを発表し、1967年に社名を「マジョレット」に変更。まもなく、フランスで最大のモデルカー・メーカーとなりました。

当初は生産拠点はフランスのみでしたが、後にポルトガルでも生産されるようになりました。
日本でも、80年代の前半ぐらいまでは、「カバヤ」との提携品ではない、マジョレットとしてのカタログ・モデルが売られていて、裏板には「made in France」の文字が誇らしげに刻印されていたものです。
ただし1987には生産拠点はタイのナワナコン工業団地に移されて、それ以来「made in France」のモールドは消滅して、現在に至ります。

1980年に「ソリド」を買収。ソリドは戦前からのメーカーでしたから、老舗ブランドが小スケール・量産品メーカーであるマジョレットの傘下となったことに、コレクターは大きな衝撃を受けたものです。
日本のコレクターにとっては「チープ・モデル」の印象の強い「マジョレット」が、フランスやヨーロッパでは大きなマーケットを支えており、「ヴィンテージカーの高品質モデル」がコンセプトだった「ソリド」製品が「思うように売れない」ということが明らかになったからです。

ところが欧州市場で強力な影響力を持ったマジョレットの経営も磐石とは言えず、2003年には、マジョレットとソリドは低年齢向け玩具のメーカーである「Smoby」と提携して、「スモビー・マジョレット」社となりました。
しかし経営状態の根本的な改善には至らず、2008年にはフランスの投資会社である「MI29」に買収されることになり、最終的には2010年にドイツ・フュルトゥに本拠を置く「ズィンバ・ディッキー・グループ」が経営権を取得しました。

これによって、「ズィンバ・ディッキー」は、「シュコー」「ソリド」「マジョレット」という、ダイキャストカーにおける著名3ブランドを保有することになったのです。
日本では「マジョレット」は、カバヤ食品との提携により「菓子付きミニカー」として食品売り場で売られており、そのために欧州版の供給は基本的に無いため、「ズィンバ・ディッキー」によるマジョレットの取得はあまり知られていないと思われます。

マジョレットは、「大量生産・大量消費」されていると考えられ、海外のネットオークション(米・英・仏・独)にも、古い絶版品を除いては、あまり出て来ません。




ズィンバ・ディッキー」になって以降の、「マジョレット」のファイブ・パック(Majorette 5 piece set)を見てみることにしましょう。
マジョレットでは、「ファイブ・パック」という名称こそ使われてはいませんが、マテルが「ホットホィール」で最初に、そして現在では「マッチボックス」でも使っている手法をそのまま導入していることがわかります。

箱の裏面には、なんと26か国語での注意表記があり、製造は「マジョレット・タイランド」、そして欧州各国を初め、アラブ首長国連邦(UAE)、チリなどでの各国でのディストリビューター(販売会社)の現地法人の社名が並びます。ドイツは「ディッキー・シュピールツォイク」(シュピールツォイクは玩具の意味)、フランスは「スモビー・トイズ」、スペインは「マジョレット・トイズ・イベリア」、イギリスは「ズィンバ・スモビー・トイズUK」といった具合です。「ズィンバ・ディッキー」「マジョレット・スモビー」の系列の持つ全ての販路を活用して、各国で売ろうとしていることがうかがえます。

このことに、ミニカーメーカーにとっての競争環境の大変化は象徴的に読み取ることができるでしょう。
もはやフランスのメーカーにとってのマーケットはフランス国内だけではなく、フランス国内にSikuやマッチボックスが入って来ることを防戦する、といったレベルの戦いですらなくなってしまったことがわかります。

共通市場化されたEU圏をはじめ、自由経済化された旧東欧圏、そして新興国などで、その都度Sikuやマテルと戦わなければならなくなったということです。「ズィンバ・ディッキー」はその点で早くからグループ連合体となり、各国市場での販路と世界市場発想を持っていたことでのアドバンテージがあり、マジョレットやソリドには、「生産を海外に移す」「積極的に輸出を考える」という以上の、製品の開発・企画段階からのグローバル発想が希薄だった、ということになるのではないかと思います。(2012/1/15)


プジョー307

プジョー307のポリスで、スケールは1/58
フランス国家警察の旧塗装。

ボンネット開閉アクションを持ちますが、その代わりウインド・パーツは真っ黒の不透明パーツで、インテリアが省略されています。
コスト政策の一環なのでしょうが、他ブランドではトラックなどでシートがオミットされることはありますが、乗用車ではちょっと考えられない処理。

プジョー307の実車の販売は2001年から2008年で、2008年に後継の「308」(ノレブ・ミニジェットがポリスカーを作っています)の登場によって欧州での販売は終了していますから、「ズィンバ・ディッキー」以降の新しい金型ではないことになります。
   



ポルシェ996

ポルシェ996のハイウェイ・ポリスで、スケールは1/57

明らかにドイツやポーランドなどのポリスカーを意識した塗装で、マジョレットとしては新鮮さを感じます。
ただし「POLICE」という英語表記をし、赤い屋根上灯を載せ(ドイツなら青)、ボンネットに「星」マークのエンブレムを付けているところが、世界市場対応を反映しています。
(ドイツで語は「POLIZEI」、ポーランドで語は「POLICJA」の表記になります。)
   



シボレー・インパラ

シボレー・インパラのアメリカン・ポリスで、スケール表示は1/69
だいぶん古い金型で、ポリスカーとしても数種のカラーがあり、タクシーにもなりました。
日本版で赤灯・白黒塗装の「警視庁」パトカーが作られているのはご存知の通りです。

ニューヨーク市警の旧塗装風のこのカラーも、以前に作られているのでいわばリバイバルですが、ホイルが変わりました。
このファイブパックのモデルは、全て同じ5本スポークの新しいホイルを付けているのですが、大径と小径があり、このインパラについては大径を付けたために車高が妙に上がってしまいました。
ポルシェと同じ小径の方を付ければ良いものを、と思ってしまいます。
   



ルノー・セニックU

ルノー・セニックUのポリスで、スケールは1/58
フランス国家警察の旧塗装。

私の独断に寄れば、このセットの5台中で最も良質で、フランスのエスプリを残しているモデルだと思います。
新しいホイルも、この金型には合っているようです。

実車のセニックでは2代目は2003年から2009年の生産で、既に2009年5月に3代目にモデルチェンジしています。実車では側面のピラーが黒で、ガラス面に沈んで目立たないのですが、ミニカーではピラーに黒塗装ができないために、妙にゴツゴツした感じになってしまっているのが難点でしょうか。
   



フォード・エコノライン

フォード・エコノラインのポリスバンで、スケールは1/63

以前はおとなしい救急車塗装で出ていた古い金型ですが、塗装が一新されたこと、ホイルが新しくなったことで、印象は随分変わりました。
   




ファイブパックの中で最も上質か、と思われる「ルノー・セニックU」(右)を、ノレブ(ルノー・トイズ)の「ルノー・ラグーナ」(左)と比較してみます。

両車ともリアゲートの開閉アクションを持つなど全体の仕上がりは、マジョレットも遜色ないか、と思わせるのですが、ホイルの処理、ヘッドランプに透明プラを嵌め込んでいる点などで、やはりノレブの方がポイントが高そうです。(マジョレットのヘッドランプは銀塗装。)

こうなると、「マジョレット」「ノレブ」の価格差、車種選択の上での重複度、両社の販売チャネルの違いなどまでが問われてくることになります。




マジョレットのプジョー307(左)と、ノレブ・ミニジェットのプジョー308(右)。

マジョレットにインテリアが入っていないのは論外としても、側面のピラーの黒塗装、ヘッドランプ、グリル、ドアミラー、ホイル、「プジョー」エンブレムをはじめとするプリントの再現度などで、ノレブにはだいぶん水をあけられています。




マジョレットの996(右)と、Siku最新のケイマンS(左)のポルシェ対決。

マジョレットは、Sikuをかなり意識している、と思ってしまうのは私だけでしょうか。
塗装の綺麗さ、シルエット、細部の彫刻処理などで、Sikuは「スケールモデル」と呼べる格調を持っていると思いますが、マジョレットは何となく「塗装で化けた」感じを受けてしまいます。

「Sikuふうのモデルをもっとお安く!」 というところにコンセプトがあると言ったら、意地悪でしょうか。
少なくともオーストリアでは、「Siku」「マジョレット」の両方が売られているようです。




同じマジョレットのインパラ、それも同色の新・旧のホイル比較。
比べてみるまではわかりませんでしたが、以前はダイキャストだったグリル兼用の裏板は、新しい製品(右)ではプラスチック化されています。

こうしてみると、やはりこのクラスの小スケール・モデルにとってはホイルというのはとても大事で、このインパラに関してはホイルの選択を完全に誤っていると言っていいでしょう。

ホットホィールであれば前輪を小径に、後輪を大径にしたり、車高を低くして「ローライダー」化したりするでしょうか、そもそもそういうことが似合う金型とも思えません。

経営権の帰属が変わったことを示すために、意地になってホイルを変えているように見えてしまいます。




フォード・エコノライン、マジョレット旧版の救急車(左)と新版のポリス・バン(右)のホイル比較。
これなら、新ホイルの方がいいでしょうか。

とは言え、ホイルが「マッチボックス/ホットホィール化」しただけとも言え、ノレブの3インチ・シリーズはこの路線を採っていないことがわかります。




2台ともマジョレットのフォード・エコノライン。
少し前の救急車のホイル違い(左)と、新しい消防車版(右)。

消防車の方は、ホイルが大径の5本スポークになっているので、「ズィンパ・ディッキー」以降のものであることがわかりますが、マーキングが「BOMBEROS」になっており、スペイン(語圏)向けのモデルです。
(ただしこのマーキングのものが、カパヤ提携品で日本にも入って来ているようです。)




マジョレットのフォード・エコノライン(右)とSikuのメルセデス・シュプリンター(左)の比較。
やはりひとつの製品にどれぐらいのパーツ数・工程数を割くかで、モデルとしてのデキは一見してわかるぐらいに違って来るのですが、おそらくマジョレットは、「Sikuよりもノレブよりも安い」という価格政策を採り続けるのでしょう。

コストは価格に反映してくると考えると、マジョレットは「いかにコストをかけずに、同じような仕上がりに見せるか」という戦略を採っているように見えます。

さて、古い金型の色やホイルを替えて来るのはいいとして、競争の激しいこのスケールで、これからどんな新金型製品が作られていくかで、「ズィンパ・ディッキー」グループの一員となった「マジョレット」の真価が問われることになりそうです。




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