詩人の萩原朔太郎に『猫町』という短編小説があります。いつも住んでいる町からいくらも歩いていないのに、ふと異界(異次元界)に入り込んでしまう、というようなイメージを中心にすえた物語で、これが結構私としては気に入っているのです。
朔太郎の『猫町』にも鉄道が出て来るのですが、鉄道に乗って、駅に到着するとそこは「異なる世界だった」というのは、宮沢賢治をはじめとして、ひんぱんに使われるイメージです。「ハリーポッター」でも魔法学校までは汽車や「飛行自動車」に乗らなければなりませんし、『千と千尋の神隠し』でも、通路を抜けたり、橋から向こうが「異界」だったりします。
なんでもない日常の、すぐ向こう側に「異界」があって、そこに行ってみたい、というのは、案外人間にとって、とても身近で、誰にでもある願望なのかもしれません。
そして、朔太郎や賢治の時代イメージと重なることもあって、本の挿絵などでもその「異界」の風景というのはどことなく「レトロ」なものとして描かれます。
テーマパークでも、お菓子のオマケなどでも、「昭和」「レトロ」がブームですが、きっとそれは、「未来の21世紀」というのは、もっととても素敵な時代が来るものと思っていたのに、実際はあまり「たいしたことはなかった」ことに対して、皆が「昭和」を懐かしく思い、ふと日常のドアの向こう側にレトロな「猫町」が存在していることを期待しているからなのかもしれません。
私たちとしては、猫町のひなびた玩具店には「ミクロペット」を売っていて欲しい、と思ってしまいます。
ホームページを作ってから、何かとネタになる素材を探しているわけですが、以前に作りかけていた、Nゲージのミニレイアウトを引っ張り出して来ました。
本来「パトカー」というテーマとは関係ないのですが、「ノスタルジック」というテーマには沿っているはずです。それで無理矢理、1/150スケールのパトカーと交番を新設して、画像アップしてみようかと思います。
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