Nostalgic Patrol Cars Season 2

マルテザー災害派遣救助隊


Malteser Einsatzrettungszentrum

── Container und deren Transport mitRadfahrzeugen im Massstab 1/87







「ドイツのHOスケール・メーカーのカタログふうディオラマ」

ファーラー/フォルマー/プライザー/ロコ/ヘルパなど、ドイツ/オーストリア系のHOモデル・メーカーのカタログを買うと、綺麗に作り込まれたディオラマ写真を堪能することができます。それもメーカー撮影写真だけあって、自社製品を惜しげもなく使った大ディオラマが多いのですね。ミリタリーの分野で「ディオラマ」などという言葉がまだ影も形も無かった頃から、鉄道模型の分野ではそういう世界がありました。

模型少年にとっては夢のような世界だったわけですが、何故かHOスケールでちゃんとしたディオラマを作る機会には恵まれませんでした。HOスケールでは、建物/人形/動物/クルマ/ドラム缶や荷物などのアクセサリー/軍用車両など、ほとんどあらゆるものが統一スケールで揃うのですが、購入には色々と障害もあるからです。

まず輸入品で価格が高いこと。輸入品を扱う鉄道模型店にしか無く、一般の模型店の店頭には並びにくいこと。カタログには実に様々な製品が掲載されているにもかかわらず、日本では体系的に入荷・販売されないこと、などです。かつて銀座TS堂に、プライザーでカタログに載っている商品は入荷するのかと聞いてみたところ、「正直言ってあまり売れるモノではないので、言ってくれれば注文する」という答えだったのを忘れません。結局いくらになるのかわからないことを恐れて注文しませんでした。

とは言え、オーストリアのロコ(ROCO)は、主力戦車/装甲戦闘車両だけでなく、様々なトラック類、それも水槽車/野戦調理車/通信用シェルター搭載車など、他社では考えられないようなマイナーな支援車両群が豊富に作られていて、これらを利用して、念願の「ドイツのHOスケール・メーカーのカタログふうディオラマ」を作ってみることにしました。



アレも作りたい、コレも必要などと思っているうちに、実は結構な時間がこの情景製作にはかかってしまいました。つい先日中国四川省で地震がありましたが、もちろんそれよりずっと前から作っていたもので、実際の地震発生とは何の関係もありません。四川省地震/ミャンマー・サイクロン被害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、災害からの一刻も早い復興を祈念いたします。
(2008/6/1)

以下のストーリーは全くのフィクションですので、そのつもりでご覧ください。
(ドイツで本当に地震が起きたりしませんように!)


Quellenverzeichnis
-Rettungs Magazin Extra, Sonderheft Marktfu"hrer 2002/2003
-Wehrtechnisher Report, Landbeweglichkeit, Report Verlag 11/1998
-Die Fahrzeuge der Sanita"tstruppe der Bundeswehr, Tankograd Milita"rfahrzeug Spezial #5007,
Verlag Jochen Vollert 2004
-Distoguide Deutschland 'Su"d' 1:500000, Hallwag International





災害派遣決定と出場準備



マルテザー(マルタ騎士修道会救助団)・アウグスブルクでは、通常の患者搬送・救命救急活動に加えて、災害時の救命救急医療支援の取り組みを強化。

アウトバーンとのアクセスを考慮し、アウグスブルク近郊、ハンマーシュミーデのレヒ川沿いに、災害出場用車両基地を新たに設置。周辺のシュタットベルゲン/ノイザース/ベーレンケラー/オーベルハウゼン/レヒハウゼン/ライタースホーフェン等から部隊・資器材・車両等を抽出し、広域派遣体制を整備した。特に今回はじめて本格的な救助車を導入して、レスキュー系装備の運用訓練を実施していた。



折から、バイエルン州南西部、オーストリア国境地域のホッホシュタウフェン山麓地域(オーバーバイエルン/ベルヒテスガーデナー・ラント/北緯47度45分・東経12度50分)で、地下を震源とする群発地震が発生。バイエルンで雨がちな天候が多くなる夏に、地震活動が活発化することが知られていたが、3月31日午前4時37分、同地域でマグニチュード6.7の直下型地震が発生した。

同地域では特に3月と8月に大量の雨が降るが、降雨量と岩盤中の水圧が、群発地震に関係しているとの研究報告が発表された矢先の地震であった。

同地域は人口密集地ではなく、人的被害は大きくないものと予想されたが、山岳地帯であることから、道路・水道・電気・通信などのライフラインの途絶が、救急医療体制に障害をもたらすことが予想された。またもともと救急医療施設が少ない地域であるため、マルテザー・アウグスブルクでは、野外救急医療センターの設置および運用を目的とする広域災害派遣を決定した。






ただちに派遣部隊・資器材の選定と搬送準備に入る。
野外救急医療センターの設置に要する、手術施設を含むシェルター型コンテナーを選定し、車両に積載。その他、照明車/電源車/移動指揮所/通信車/水槽車/野外調理車等を準備する。
患者搬送業務は災害現地の救助団に任せるものとし、今回の派遣装備の中には患者搬送車は含まれない。





資器材の輸送効率を高めるため、各車両は照明/電源/カーゴ/水槽/野外調理等の各種トレーラーを牽引することとする。




車両についても最終的に入念な整備・点検を実施。





広域災害派遣決定から1時間30分後、第1次派遣部隊の出場準備を完了。
部隊はベルヒテスガーデナー・ラントに向けて出発した。


アウトバーンA8号線経由で災害現地へ



アウグスブルク東入口から、アウトバーンA8号線に入り、ミュンヘン方面へ。
コンテナーや資器材運搬用のフォークリフト、



その他医薬品・医療用品、水・食品類・毛布等の生活用品、



大型テントなどを満載した車両が被災地域へと向かう。



野外調理車(フィールドキッチン/フェルトキッヒェ)には、さらに調理用トレーラーを牽引させる。


野外救急医療センターの設置へ



現地に到着し次第、大型テントを設営。場所はアウトバーンおよびザルツブルクに通じる補助20号線にアクセスする、ビショフスヴィーゼンの近郊。




処置室・手術室用コンテナーを展張して、野外救急医療センターを構築して行く。
地元の救助部隊が搬送して来る患者の受け入れをすみやかに開始。
アウグスブルク部隊と同行したドクターにより、トリアージ(処置優先順位)確認および処置をスタートさせる。





アウグスブルクからの後続部隊、およびミュンヘン/ローゼンハイム等からの部隊・車両も続々と到着。レーゲンスブルクのマルテザー教育・研修センターに備蓄中の資器材の搬送も決定。レーゲンスブルクからは、アウトバーン93号→9号でミュンヘンを経由するほか、主要道15号でローゼンハイムへ、20号でザルツブルクへ直接南下できる。オーストリア・ザルツブルクの救助団部隊からも応援打診があった。



山間地での通信事情を改善するため、アウグスブルク部隊としての独自の移動指揮所を設置するとともに、シェルター内蔵型の多重無線装置により、アウグスブルク/マルテザー・バイエルン州中央および現地救助団部隊や他医療施設との通信回線を構成する。



野外救急医療センター用の電力、水槽車および車載型浄水セットによって上水供給についても独自確保。





日没までに救急医療センターの設置と医薬品・食料品等の搬入を基本的に完了した。





翌日は、引き続き患者搬送に飛来するヘリコプターに対する給油および整備提供体制を整える予定である。

※ただしこれはフィクションのお話の中でのことで、(ロコ製ヘリコプターのキットは買ってあるものの、ヘリポート工事着手時期は未定です…。)




制作後記

フォルマー(建物)/プライザー(人形・車両・アクセサリー)/キブリ(車両)/ロコ(車両)/ロスコプフ(トレーラー)/ハセガワ(1/72電源車・照明車)などのキットを使用しています。ロコは、シェルター型コンテナを車両に積載する際のチェーン式固定具のパーツまで別売りしています。

車両では、キブリのマルテザー仕様のキットを無塗装でそのまま組み立てたものもありますが、ロコの軍用車をマルテザー・カラーに塗り直したものも多く登場させています。なので、ここに登場する状態の完成品ミニカーは売っていませんので、この点ご了解の上でご覧ください。

やはりディオラマ画像では背景写真が重要のようです。かつてフランソワ・バーリンデンの作品がタミヤのパンフレットで紹介された時、独特の塗装技法以上に背景に使っている写真と模型とのマッチングに驚いたのが思い出されます。
模型の後ろに置いた写真は、リアルで見ていると別にびっくりしませんが、2次元画像として撮影した瞬間に、「平面の中の平面」のマジックによって全く別の効果を発揮するようになります。
今はネット上にたくさんの画像がありますので、解像度が大きめのものを選び、プリントアウトして使いました。
また今回はじめて、背景の流れた写真を置いて「走行シーン」を撮ってみましたが、車輪が回転しているように見えないとか(あたりまえ)、アウトバーンが左側通行に見える(!)、などの課題を残しています。

ストーリー仕立ての邪魔になるので、敢えて今回は使用キットの説明などは逐一書かないことにしましたが、もし何かありましたら掲示板などでご質問ください。
ロコの大型テントは、ロコ社の倒産などもあって日本では手に入らず、友人のオーストリア人コレクターに送ってもらったものです。やっとWeb公開できて、義理を果たすことができました。

ちなみに下は建物2階の本部オフィスの内部。こんな作業をしていて、いつまでも完成しませんでした。制服を着た無帽・着座ポーズの人形がいないので、今のところ無人状態です。どうしましょう…。




     




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