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これまでに色々なものを作り、色々な年代のクルマのモデルを買いましたが、歳のせいか、昭和30年代〜40年代のクルマや街に対する回帰趣味が強くなっています。
ちょうど小学校の頃に、家から学校まで歩いて通った頃の街と、道端にとまっていたクルマ。「机の上の模型」ということだけでなく、できればその世界の中に入っていって、過去の記憶を再現できるような情景づくりを考えました。
【スケール】
「街並み」を再現するために、スケールは「トミカサイズ」です。1/43ではせいぜい「建物」単体の再現までで、「街並み」づくりには大きすぎます。1/32・1/24ではとても望むべくもありません。
トミカは「箱スケール」なので、乗用車であってもスケールにはかなりの幅がありますが、一応基本は1/60〜1/64という設定にしてあります。
【素材】
アメリカには1/64「Sゲージ」(軌間22mm)というスケールがあるようです。ホットホイールなどが「1/64」を標榜するのは多分ここから来ているんですね。ところがこれはほぼアメリカだけのローカルゲージで、日本ではほとんど紹介されていません。ということは、「1/60〜1/64」で使うことのできるストラクチュア(建物)、フィギュア(人形)、アクセサリー(自転車からドラム缶にいたるまで)は、ほぼ全く入手できないことになります。
幸い、河合商会の「風物詩シリーズ」の一部の建物キット、イマイの「日本のふるさとシリーズ」の建物キットが1/60を表示しています。建物のスケールを確認するには、出入り口などの開口部の高さ(日本家屋の場合1,820mmプラスマイナス)で見ていくと間違いがありませんが、確かに1/60前後スケールなので、これが利用できることが制作のモチベーションになりました。カワイの「駄菓子や」「佃煮屋」、イマイの「居酒屋」「映画劇場」を、一部は改造して使用しています。
カワイ製品はスポット生産なのか、今でも入手できます。イマイ製品はおそらく絶版または生産休止品でしょう。何かの間違いで売れ残っているものもあります。
「警察署」の建物はフォルマーの1/87の改造、その他ドラム缶・空きびんなど、1/72〜1/76〜1/80〜1/87〜Nスケールのアクセサリーを使用しています。
【登場トミカと年代考証】
本当は1960年代にしたいんです。昭和で言うと44年までですね。クラウンなら20系・30系・40系に一番ノスタルジアを感じます。でもそんなトミカはありません。なにしろトミカの発売は1970年でしたから。クラウンのMS50系がかろうじて60年代末期の息吹を残しているので、最初は50系クラウンのセダン/パトカー/タクシーだけを登場させて「1969年」設定にしようと考えました(「コカ・コーラ」などの看板は1969年頃を基準に考証してあります)。
ところがいかにも車種の幅が狭すぎるので、警察署横に「ニッサンキャブオール」を駐車させていることをもって、設定年代を「1973年」にしました。
【第35回モデル・カーズ読者コンテスト・佳作・石ノ森賞!!】
既に古い話になってしまいましたが、株式会社ネコ・パブリッシング・「第35回モデル・カーズ読者コンテスト」に「トミカのまち・1973」を出品、「佳作・石の森賞」をいただきました(2002年9月号掲載)。
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